研究領域 | 脳内環境:恒常性維持機構とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
24111531
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
望月 秀樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90230044)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ミクログリア / インフラマソーム / 神経炎症 / 神経変性疾患 / パーキンソン病 / αシヌクレイン |
研究実績の概要 |
申請者らのグループは以前より神経疾患における炎症機転に注目し、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症(ALS)の動物モデルと初代培養系を用いてその役割を研究してきた。アルファシヌクレインはパーキンソン病の病巣において蓄積し、病態に重要な役割を果たすタンパク質であるが、重合したアルファシヌクレインがインフラマゾームを活性化し炎症機転に関与することが最近報告された。本年度はアルファシヌクレインの動態と機能について検討を行い論文報告を行った。アルファシヌクレインはSNARE複合体と深く関与するが、我々はSNARE複合体の機能に異常を持つSNAP-25変異ノックインマウスを作成し、SNARE複合体とα-シヌクレインの局在を線条体において検討した。同マウスでは、グルタミン酸作動性の神経終末部において、α-シヌクレインの集積が起きていた。このことからSNARE複合体の機能障害が α-シヌクレインの集積・凝集に関与することが判明した。
また神経変性におけるB細胞の役割をALSマウス(G93A変異SODマウス)と2系統のB細胞欠損マウス(IgM欠損およびBAFF受容体欠損マウス)を交配し、B細胞欠損ALSマウスを作成することにより検討した。IgM欠損ALSマウスの寿命は対照と同様であったが、BAFF受容体欠損ALSマウスの寿命は対照と比べ有意に短縮した。一方BAFF,BAFF受容体は共に神経細胞に発現していた。したがって、B細胞は神経変性に影響しないが、神経に発現したBAFFが保護作用を持つことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は可能であればMPTP投与モデルを用いてin vivoにおけるインフラマゾームの役割を検討する予定であったが、ミトコンドリア毒であるMPTPを使用できる部屋の準備などに時間を要したため、in vivoの実験は行えていない。現在は使用できる準備ができたため実験可能な状態になっている
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の培養系における検討をさらに続けるとともに、本年度はin vivoでの検討を開始する。インフラマゾームはNALP3、ASC, caspase-1の複合体からなるが、このうちASCのKOマウスを信州大より入手した。野生型マウスとASCKOマウスに対してMPTP急性投与を行い、ドパミンニューロンへのインフラマゾームの影響について検討する。
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