公募研究
刺激に対するアストロサイトおよびその抗酸化機構など諸因子の反応性の部位特異的プロファイルと神経細胞の脆弱性・抵抗性との関係を,培養系や動物を用いて検討した.神経毒6-OHDAによる初代培養中脳ドパミン(DA)神経細胞死が,中脳アストロサイトとの共存下に比べ,線条体アストロサイトとの共存下の方が軽度であることから,線条体アストロサイトで部位特異的に発現している神経保護因子をマイクロアレイで網羅的に検索した.6-OHDAにより線条体アストロサイトにおいてはNrf2で転写調節されるphase II解毒酵素類(NQO-1, グルタチオン(GSH)関連酵素等)が発現増加していた.蛋白レベルでも線条体アストロサイトでNrf2,NQO-1, GSHが増加していること,神経・線条体アストロサイト分離共培養において神経内キノン体生成が抑制されていることを確認した.線条体アストロサイトはDAキノン障害性に対し特に保護的に働いている可能性が示唆された.また,神経毒ロテノンのアストロサイトへの作用に関しても同様に検討し、線条体アストロサイトで特異的に発現増加している興味深い因子を見出すことができた.セロトニン5-HT1Aレセプターアゴニスト8-OH-DPATに線条体アストロサイトを介した神経保護効果があることをこれまでに明らかにしていたが,8-OH-DPATがアストロサイト上の5-HT1Aレセプターに作用し,アストロサイトでのNrf2活性化および強力な抗酸化因子メタロチオネインの発現・放出を誘導し,酸化ストレスによるDA神経細胞障害を抑制するというアストロサイトを介した神経保護のメカニズムを明らかにした.以上の検討結果から,アストロサイトの部位特異的プロファイルの修飾により神経細胞死を軽減できるという可能性を示すことができた.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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