公募研究
1)) 脊髄損傷モデル動物の作製と神経再生状態の解析:LOTUS-過剰発現(LOTUS―TG)マウスを用い、脊髄損傷モデル動物を作製して野生型マウスと比較検討した。胸椎7-8位で背側反側切断を行って下肢の歩行麻痺状態を作製し、BBBスコアリングによる歩行状態を経時的に解析したいところ、野生型マウスが示す自然回復能(自然再生能)以上にLOTUS-TGマウスでは著しく促進されていた。このことは、LOTUSは神経再生能に大きく貢献していることを示唆する。2)実験的自己免疫性脳脊髄炎モデル動物の作製と臨床的評価:C57BL/6マウスを背景にもつ野生型マウス、LOTUS-過剰発現(LOTUS-TG)マウスを用いて実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデル動物を作製し、病態誘発・進行状態を比較検討した。現在のところ、LOTUS-TGでは、野生型に比して有意に病態の進行が遅れる傾向を示し、LOTUSの過剰発現によってEAE誘発に抵抗性を示した。おそらく、LOTUSによってNogo受容体を介して誘発される神経変性進行を抑制した結果と解釈できる。一方、野生型マウスを用いたEAEモデルにおいて、免疫後経時的に脳と脊髄におけるLOTUSの発現変動について、免疫組織化学的手法およびウエスタンブロッティング法で解析したところ、例数は未だ少ないが、EAE群ではLOTUSの脳内発現が減少していた。そこで、ヒト多発性硬化症(MS)患者の脳脊髄液のLOTUS含有量についてウエスタンブロッティング法によって定量的に解析したところ、健常者に比して約50%減少することが判明した。更に、ステロイド剤によるパルス療法で一時的に寛解した患者検体ではLOTUS濃度は健常者と違いがなく、また再発患者検体では再度50%減少することが判明した。これらのことから、MSの病態進行に伴って脳脊髄液のLOTUS濃度が変動することが明らかになり、脳脊髄液のLOTUS濃度はMSの病態を示すバイオマーカーになる可能性を示した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
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10.1038/ncomms4424
ブレインサイエンスレビュー2014
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