研究領域 | 脳内環境:恒常性維持機構とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
24111547
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
矢尾 育子 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60399681)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | イメージング / 質量分析 / 老化 / シナプス / 脳 / 脳内環境 / ユビキチン / 神経変性 |
研究実績の概要 |
本研究では、質量顕微鏡法、すなわち質量分析イメージングを神経科学研究に応用することにより、脳内環境のバランスが破綻した時に起こる分子の変動を可視化し、新たな鍵分子を見出すことを目標とする。脳内環境のバランスが変化していると考えられるモデル動物として、申請者らが作成したScrapper-KOマウスを用い、その脳を質量分析イメージングにより解析した。SCRAPPERのnullノックアウトマウス脳組織に対し質量分析イメージング測定した場合、変動している分子が見出された。イメージングの後、多段階質量分析によりこれらの分子の同定を試みた。他に、封入体の形成が予想されるマウスや神経変性疾患モデルマウスについて検討した。また、神経変性疾患のモデルについても質量顕微鏡法で観察し、ヒトの神経変性疾患脳サンプルから得られる情報との比較検討した。 Scrapper-KOマウスは致死性であることから、SCRAPPERが発生段階においても機能していることが予想される。幼若期致死のため成獣脳における役割を解析することが困難である。そこで、致死の表現型を回避し脳に限定した機能を解析することができる、コンディショナルKOマウスを解析を計画した。脳内環境領域の支援を受け、本年度ベクターの設計を行い作製を開始することができた。 SCRAPPER遺伝子のノックアウトマウスの海馬スライスでは、Long-term potentiationに異常があることが分かっている。この結果を論文として報告した。また、SCRAPPER分子の解析について第34回日本神経科学大会、北米神経科学学会、アメリカ質量分析学会等で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の計画を遂行し目標を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
神経変性疾患のモデル動物について質量顕微鏡法で観察し、ヒトの神経変性疾患脳サンプルから得られる情報との比較検討を行う。得られた情報から、凝集体の蓄積や神経伝達物質の放出異常が原因となっている神経変性疾患の病態解明を目指す。
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