研究領域 | 脳内環境:恒常性維持機構とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
24111552
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研究機関 | 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
船曳 和雄 公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所, その他部局等, 研究副部長 (00301234)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | in vivo imaging / FRET / micro-endoscope / ミクログリア / 大脳基底核 / 線条体 |
研究実績の概要 |
我々は、脳に刺入し、細胞レベルの組織像をリアルタイムに得ることのできる顕微内視鏡システムを開発している。今年度は、内視鏡留置による長期間の観察を試みた。全身の細胞の核にCFP/YFP FRETバイオセンサーを発現した遺伝子操作マウス(京都大学 松田研究室作成)を用いて、300-350ミクロン径の内視鏡(単一モードファイバー束)の先端を大脳基底核に留置、歯科用セメントで固定し、10日間ほどタイムラプス観察を行った。覚醒後、自由行動中も内視鏡画像は比較的安定し、細胞のトラッキングが可能であった。さらに留置後3日目よりミクログリア様の小型細胞が視野内を激しく動き回る像が観察された。この動きまわる細胞には、比較的大型でゆっくりと動くものと、小型で激しく動きまわるものとがあった。これら細胞の動きは留置後5日目以降は少なくなった。さらに内視鏡を脳内に留置後、約50ミクロン単位で前進・後退させることのできるマイクロドライブを作成した。ミクログリア様細胞が多く画面に出現した後に、上記マイクロドライブを用いて、内視鏡先端を脳内で300ミクロン進めると、動き回る細胞は内視鏡視野内には認められなくなったが、その後6-8時間ほどして内視鏡視野周辺部より再び多く認められるようになった。上記は、内視鏡刺入による物理的刺激に対してミクログリアなどの免疫系が反応したものがin vivoで観察されたものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞レベルのin vivo imagingを行える顕微内視鏡の頭部留置が可能になったので。当初、これは多くの困難を伴うと予想していたが予想よりも容易に実現できた。
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今後の研究の推進方策 |
現在我々は、顕微内視鏡システムとErk,PKA FRET biosensorマウスを用いて、コカイン投与やfootshockに対する線条体ニューロンのErk, PKA活性変化の観察を行っている。自由行動中に測定することができるので、ErK, PKA変化と行動量がどのような時間相関を示すかに注目し解析していく予定である。それと同時に、上記ミクログリア様細胞のin vivoでの観察に関しても今後、CD11b-Creマウス等を用いて検討していきたい。
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