公募研究
申請者は研究計画に従って実験を行い、特に「異常なミトコンドリアが認識・識別される仕組み」に関して顕著な進展があった。つまり、研究計画書を申請した当時は、主流の仮説はPINK1の膜電位依存的な分解という「量的な制御」に注目したものであったが,申請者は本研究を通じてPINK1は「質的にも制御」されていることを示して、当該分野に大きなインパクトを与えた。詳細は以下の通りである。1) PINK1がミトコンドリアの膜電位の低下に伴って自己リン酸化される、2) この自己リン酸化は種々の患者由来の変異PINK1では阻害されている、3) MS解析とセリン/スレオニンに対する変異導入を組み合わせた実験から、PINK1の自己リン酸化部位はSer228とSer402である、4) この部位をアラニンに置換した変異体PINK1(S228A/S402A)はParkinをミトコンドリアに移行させることができないが,この部位をアスパラギン酸(リン酸基模倣アミノ酸)に置換した変異PINK1(S228D/S402D)は自己リン酸化非依存的にParkinをミトコンドリアに移行させる。これらの成果は「PINK1のSer228/Ser402自己リン酸化を介した質的制御が異常なミトコンドリアの認識に決定的に重要である」ことを示しており、2012年に英文原著論文として報告した(Nat Comm)。さらに本年度は、NAMOS (Native Antibody-based MObility-Shift)アッセイなどを駆使してPINK1の質的制御に関する解析をさらに発展させて、PINK1が膜電位の低下時にTOM複合体を含む巨大分子量複合体を形成するとともに、その中で2量体を形成しており、その2量体形成が上記PINK1自己リン酸化に必須の役割を果たしていることを報告した(Okatsu, JBC, 2013)。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Biol. Chem.
巻: 288 ページ: 36372-36384
doi:10.1074/jbc.M113.509653
巻: 288 ページ: 22019-22032
doi: 10.1074/jbc.M113.467530
Genes to Cells
巻: 18 ページ: 672-681
DOI: 10.1111/gtc.12066
http://www.igakuken.or.jp/pro-meta/