研究領域 | 脳内環境:恒常性維持機構とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
24111561
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設) |
研究代表者 |
富永 真琴 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90260041)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 神経科学 / 生理学 |
研究実績の概要 |
① TRPM2の過酸化水素による酸化が感作を引き起こし、それがマウス腹腔マクロファージの機能増強につながることを報告していたので、マウス大脳皮質から単離したミクログリアでも同様な過酸化水素による機能増強が起こるかどうかを検討した。野生型マウスミクログリアでも過酸化水素による熱応答の増大を観察したが、著しいものではなかった。野生型ミクログリアとTRPM2欠損ミクログリアで貪食能に差は見られなかった。 ② 脈絡叢上皮細胞でTRPV4活性化によって流入したカルシウムがカルシウム活性化クロライドチャネルを活性化させてクロライド排出をもたらすことを見いだした。カルシウム活性化クロライドチャネルの分子実体はanoctamin 1であることが、遺伝子レベル、蛋白質レベル、機能レベルで明らかとなった。Anoctamin 1は熱による活性化が報告されており、この熱活性のクロライド電流もTRPV4活性化によって著しく増大した。この2つのチャネルは体温環境を感知し、さらにTRPV4は脳脊髄液放出時におこる細胞容積変化を感知しているものと推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミクログリアでのTRPM2の脳内レドックス環境感知への関与は今のところ証明できていない。脈絡叢上皮細胞でのTRPV4の細胞膜進展刺激感知は証明できたと考えている。十分な進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
① ミクログリアの採集方法、培養方法に改良を重ねて、腹腔マクロファージで観察された過酸化水素による酸化を介した感作を観察していきたい。さらに、その感作が確かにTRPM2欠損ミクログリアで起こらないことを明らかにしていく。さらに、過酸化水素の単離ミクログリアの遊走能、貪食能、サイトカイン放出能への影響を野生型およびTRPM2欠損マウスで比較検討する。 ② 脈絡叢上皮細胞の進展が確かにEET産生を介してTRPV4活性化をもたらすことを証明する。TRPV4とanoctamin 1の物理的結合の有無を共免疫沈降法を用いて検討する。マウス脳室内にTRPV4刺激薬・阻害薬、anoctamin 1刺激薬・阻害薬を注入してマウス行動の変化や脳脊髄圧力の変化を観察する。さらに注入後のマウス脳組織の変化を観察する。
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