研究領域 | 背景放射で拓く宇宙創成の物理―インフレーションからダークエイジまで― |
研究課題/領域番号 |
24111703
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高田 卓 筑波大学, システム情報系, 助教 (30578109)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 超伝導ソレノイド / 多層磁場シールド / 断熱消磁冷凍機 |
研究実績の概要 |
宇宙マイクロ波背景放射観測の様に、非常に高感度な検出器を使用する場合、検出器の感度、熱雑音の低減の為、超低温環境が必要となっている。この環境において、軽量化・コンパクト化された断熱消磁冷凍機が求められる。これを解決するために、本研究のボビンレス超伝導ソレノイドの製作、多層磁場シールドの製作に挑んだ。 平成24年度の実績としては、様々なエポキシ材料を比較し、ADR用の極細線を使った超伝導ソレノイド用のエポキシの選定、最適な張力の探索等を終え、マグネット製作方法の確立が行われた。塗り巻と呼ばれるエポキシを塗りながら巻く方法を採用したため、エポキシ中にボイドが出来ることなどが心配されたが、顕微鏡による断面の観察を通して、ボイドは観察されず、この製作方法の有効性が明らかとなった。また、これらの試作を繰り返す事で、より洗練されたマグネット製作用冶具の開発を行った。 さらに多層磁場シールドについては、磁場解析の可能なソフトANSYSを導入し、シミュレーションによる設計・検討を繰り返した。この結果、同材料を分割して隙間を設けて3層に巻くだけで、従来の3分の1以下の軽さで同じ磁場遮蔽度が実現できる軽量化したデザインを示すなどの結果を得た。現在、数種類の磁気遮蔽材料を同時に使う形の多層化をシミュレーションによって再現するなどを行い、試作機の設計を固めつつある。これらの工夫により、さらなる軽量化が実現され上記のボビンレス化と合わせて、ADR全体として30%以上の軽量化が実現すると見込まれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画時に想像された以上に、エポキシの選定や超電導ソレノイドを作るための巻き線技術の収斂に時間がかかった為。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題として、超伝導マグネットの製作スピードがあげられる。これに対し、これまでの計画よりも小型の超伝導ソレノイド製作にシフトする事によって、実機としてのADRの冷凍能力は落ちるものの、本研究課題が目指す所のアイディアの実証に注力する事で、研究の進捗を加速する。
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