宇宙ひもの存在がマイクロ波宇宙背景放射の温度ゆらぎ・偏光ゆらぎに与える影響を調べ、将来の観測によって宇宙ひもの線密度や組み換え確率にどのような制限が得られるかを探求した。まず宇宙ひもを作っているスカラー場のシミュレーションを行い、相転移からどのように宇宙ひもが形成していくかを調べ、ネットワークの時間進化を追った。そしてマイクロ波宇宙背景放射の小スケールのゆらぎに注目し、宇宙ひもによるカイザー・ステビンス効果と重力レンズ効果の相乗効果によってバイスペクトルがどのようになるかを計算した。バイスペクトルはインフレーションによるゆらぎの生成では小さいとされるため、宇宙ひもを検出・制限するのに有効であると考えられる。計算の結果、これらの効果は他のバイスペクトル生成メカニズムより優勢である場合があり、将来の小スケールのマイクロ波宇宙背景放射の観測によってこれまでになく強い制限が宇宙ひもの線密度と組み換え確率に与えられる見込みであることがわかった。 これらの量は宇宙ひもを作っている場や、相転移時の宇宙ひも生成メカニズムに関わることであり、その背後にある高エネルギー素粒子物理学にとって有益な情報になるものである。
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