宇宙背景放射の偏光分布の渦パターンであるBモードを測定する事は、初期宇宙の非常に高いエネルギースケールの重力波による時空の歪みを検出する有効な手段である。Bモード測定にはシンクロトロン放射などのフォアグランドを差し引く必要があり、60~300GHz程度の広帯域かつ多数の検出器で同時に観測する必要があり、また小型衛星に搭載するのに実装密度と低消費電力の読み出し系が課題である。 衛星搭載用の検出器として、多チャンネル化が容易なMKIDsの開発を行っているが、多重読出しにはMKIDsの共振周波数である数GHz帯の低ノイズの増幅器が必要となる。現状のMKIDsの読み出しにはHEMTが使われているが、ノイズ及び消費電力の点で不足である。本研究では、HEMTに替わる低ノイズかつ消費電力の小さい超伝導マイクロ波増幅器を開発し、MKIDsの開発と併せて多チャンネル読み出しの実証を行う事が目的である。 平成24年度はこのような低雑音増幅器として、SQUID増幅器及びパラメトリック増幅器のシミュレーション等による電気的な設計を行い、パラメトリック増幅器についてはフォトマスクの具体的な設計が完了した。 平成25年度は、これらの評価を行うと共に、低雑音増幅器と多チャンネルのMKIDsを組み合わせて実際にMKIDの読み出しの評価系のシステムを構築して、超伝導検出器の総合的な雑音等の評価を行うため、読み出し系用のハードウェア等、評価系の構築を行った。
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