研究領域 | 背景放射で拓く宇宙創成の物理―インフレーションからダークエイジまで― |
研究課題/領域番号 |
24111717
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
津村 耕司 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (60579960)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 初期宇宙 / 背景放射 / 第一世代天体 / 赤外線天文学 / ガリレオ衛星 |
研究実績の概要 |
本研究課題にて、すばる望遠鏡にて2半夜、ハッブル宇宙望遠鏡にて4 orbits、Spitzer宇宙望望遠鏡にて計25時間の観測時間を獲得しており、平成24年度にこれらの観測を実施した。本研究における特殊な観測を実施するにあたり、木星からの迷光を最小限におさえる観測手法(視野外に配置した木星に対する追尾、木星が暗いメタンバンドの利用など)を確立した。これらの観測のうち、すばる及びハッブル宇宙望遠鏡による観測結果から、食中のガニメデが明るかったという事象が観測された。これは我々の科学目的にとっては不都合な結果であるため、その原因究明と対策が求められる事と同時に、その現象自体は惑星科学的に興味深い現象である。そこで、宇宙科学研究所1.3m望遠鏡、西はりま天文台なゆた望遠鏡、および南アフリカのIRTF望遠鏡を用いたガリレオ衛星食の観測を複数回実施し、さらに惑星科学の専門家達とコンタクトをとり、この現象の惑星科学的原因究明とその対策について議論するなど、原因究明を進めていった。現時点では、木星上層大気による太陽光の散乱と、ガニメデの表面現象という2つの可能性について検討しており、その検討結果を踏まえて、本事象を論文にまとめるべく準備を進めてきている。一方で、エウロパの観測では食中に明るいという現象は確認されず、我々の科学目的が達成できる見込みが立ち、その観測のため、ハッブル宇宙望遠鏡およびSpitzer宇宙望遠鏡での観測時間を獲得する事に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガニメデ食が食中に明るく観測された事はよす害であったが、その原因の解明に向けての観測や惑星科学者達との議論は順調に進んでいる。また、エウロパは食中にも暗かったため、平成25年度の観測ではエウロパ食の観測による宇宙赤外線背景放射の検出を目指す。そのためにハッブル宇宙望遠鏡およびSpitzer宇宙望遠鏡による観測を平成25年度に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はハッブル宇宙望遠鏡およびSpizert宇宙望遠鏡による観測時間を獲得している。ハッブル宇宙望遠鏡では、観測対象をエウロパ食にシフトし、今までに我々が開発してきた木星からの迷光を最小限に抑える観測手法にて観測を実施し、宇宙赤外線背景放射検出を目指す。また、Spitzer宇宙望遠鏡による観測では、過去の観測によりガニメデは明るく検出されなかった事から、当初の予定通りガニメデを観測対象として観測を続けていく。今まで煮えられた成果を発展させ、これらの観測を今後も継続していくため、これらの宇宙望遠鏡の次期の観測提案も提出する。また、ガニメデが明るかった事象に関しては、惑星科学的に新たな知見が得られる可能性があるため、関連する惑星科学者数名と、本事象解明に向けた議論を既に開始しており、これを進める事で本事象の解明し惑星科学的な成果を得る事を目指すと同時に、今後のガニメデ食を用いた観測における戦略を立てる事にも役立てる。
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