公募研究
細胞―基質間接着(接着斑)形成と細胞仮足の伸展は、がん細胞の運動能亢進や上皮の創傷治癒に重要である。細胞は、これらの構造でアクチン細胞骨格の発生する力を利用するが、力を非侵襲的に捉えることは難しく、「力」動態は不明な点が多い。一方、培養細胞仮足では、アクチン線維が絶え間なく求心的に移動するアクチン線維流動が存在する。線維流動はアクチン重合とミオシンによる牽引で駆動され、力の作用を可視化する指標となる。本研究では、まず、単分子スペックル顕微鏡法を改良し、最高精度の時空間分解能でアクチン流動を捉える技術を確立した。この手法により、培養繊維芽細胞において、接着斑がアクチン流動の速度と方向をサブミクロンスケールで複雑に変化させることを見出した。興味深いことに、接着斑前方では、アクチン線維は接着斑に集まるように速いスピードで流動した。この現象は、接着斑が周りのアクチンネットワークに作用し、自身の方向に流動を変化させていることを示唆する。細胞は、接着斑―アクチン流動相互作用を調節して、接着斑におけるメカノセンス機構の活性を制御している可能性がある。これらの成果について、Molecular Biology of the Cell 誌において論文発表した。また、Journal of Biochemistry 誌にアクチン線維流動に関する総説を投稿中である。さらに、日本細胞生物学会大会(2013年6月、名古屋、シンポジウム口頭発表)において報告した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Biology of the Cell
巻: 25 ページ: 1010-1024
10.1091/mbc.E13-03-0162
The Journal of Biological Chemistry
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Development, Growth & Differentiation
巻: 55 ページ: 508-514
10.1111/dgd.12060