研究領域 | 上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 |
研究課題/領域番号 |
24112512
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉村 信一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60584521)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 上皮極性輸送 |
研究実績の概要 |
本研究では上皮極性輸送を理解するため、その関連遺伝子候補のスクリーニングおよび解析を行うことを主目的とする。 極性輸送分子であるSyntaxin-3のノックアウトマウスでは小腸上皮において頂端面への輸送に変化が見られた。また上皮細胞の増殖の亢進が確認された。そこでDNAマイクロアレイを用いて、正常マウス小腸と比較してSyntaxin-3ノックアウトマウス由来の小腸で発現変化が確認される遺伝子を探索したところ、興味深いことにある種の細胞増殖因子の発現の亢進が確認された。またその細胞増殖因子の下流遺伝子の活性化をイムノブロットにて解析したところ、著しい活性の上昇が確認された。 また他の極性輸送分子であるRab8の結合分子の探索を酵母ツーハイブリッド法にて行い、複数の候補分子の同定に至った。その中の一つはこれまで全く未解析のタンパク質であった。そのタンパク質に対する抗体を用いて各組織をイムノブロットにて解析すると、他組織に比べて小腸に多くの発現が確認された。 さらに線虫を用いた上皮極性輸送関連遺伝子のRNAiスクリーニングを完了し、現在得られた極性遺伝子関連候補遺伝子群(約100種類)のcDNAをクローニングしており、半数は終了した。 現在、解析中の遺伝子の機能をより詳細に調べるために、小腸の初代培養法の習得を行なっているところである。 初代小腸培養が成功した後、それぞれの遺伝子に対するshRNAによってノックダウンを行い、極性輸送ならびに管腔形成への影響を調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Syntaxin-3の欠損で小腸上皮細胞の増殖亢進のメカニズム解明にある程度迫りつつある。 また極性輸送関連分子の一つであるRab8の結合タンパク質を同定し、機能解析を行なっている。それを今後さらに進めることにより極性輸送の分子機構の理解がより一層深まることが期待される。 他に線虫を用いたRNAiスクリーニングで得られた極性輸送関連遺伝子群について、網羅的タンパク質相互作用解析(インタラクトーム)を計画している。そのための遺伝子クローニングも終了済みである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は極性輸送関連分子(Syntaxin-3, Rab8等)のノックダウンを初代小腸培養系に対して行い、極性輸送への機能を明らかにする。また、線虫で同定された極性輸送関連遺伝子候補について網羅的タンパク質相互作用解析(インタラクトーム)を行い、その代表的遺伝子群に関して初代小腸培養を用いた実験を行う。
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