研究領域 | 上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 |
研究課題/領域番号 |
24112515
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鈴木 聡 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (10311565)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Mob1 / 遺伝子改変マウス / 上皮管腔形成 |
研究実績の概要 |
項目1:Mob1A/Mob1B全身欠損マウスや各種上皮管腔組織特異的Mob1A/1Bダブルホモ欠損マウスにみられる上皮管腔組織形成障害とその破たんによる疾患の有無: (a)Mob1A/Mob1B全身欠損マウスの機能解析:Mob1A、Mob1B欠損マウスにはそれぞれ表現形がみられないものの、Mob1A/Mob1B全身ダブル完全欠損マウスは胎生致死となること、部分欠損マウスは、皮膚外毛根鞘がん・骨肉腫・肝がん・乳がん・唾液腺がんなどがみられることを発見し、報告した。 (b)毛嚢・肺胞細気管支・胆管におけるMob1A/Mob1Bの機能解析:皮膚特異的にMob1A/Mob1Bを欠損したマウスは、毛髪周期に異常があること、皮膚上皮のなかでも管腔組織の1つである毛嚢の増殖が特に顕著であること、多くのマウスが離乳前後に致死となることなどを報告した。さらにヒト皮膚外毛根鞘がんにおいて、高頻度にMOB1の発現抑制、YAP1の発現亢進をみることを報告した。また肺胞細気管支・肝胆管特異的にMob1A/Mob1Bを欠損したマウスは、ダブルホモ欠損マウス作製するところまで完了し、準備実験から、肝胆管特異的にMob1A/Mob1Bをホモ欠損したマウスは、胆管の過形成や肝・胆管がんをみることを見出している。 項目2:Mob1A/1Bダブルホモ欠損組織にみられる、上皮管腔組織形成に関わる細胞生物学的・生化学的変化: 上皮管腔組織の形成・維持には、細胞増殖、細胞死、接触抑制、組織幹細胞分化、Apico-basal極性制御、平面極性制御、上皮間葉転換等の事象が複層的に潜んでいることが明らかになってきたことから、皮膚特異的Mob1A/1Bダブルホモ欠損組織を用いてこれらの事象変化を検討したところ、細胞増殖亢進、細胞死抵抗性、細胞接触抑制障害、未分化性亢進、中心体数増加、毛髪異常などをみることを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに研究が進み、平成24年度にはインパクトの高いJournal of Clinical Investigationに研究成果を報告することができた。また、読売新聞・朝日新聞などで新聞報道もされ、広く国民に成果の報告ができたことから、概ね順調に進展しているといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
(1)各種上皮管腔組織特異的Mob1A/1Bダブルホモ欠損マウスにおける上皮管腔組織形成障害とその破たんによる疾患の有無: 平成25年度には、(a)肺気管支、(b)肝胆管、(c)子宮内膜、(d)乳腺、(e)唾液腺等の各組織特異的にMob1A/1Bをダブルホモ欠損するマウスを作製・解析し、これら組織の管腔形成におけるMOB1A/1Bの機能やその破綻病態を解明する。 (2) 各組織特異的Mob1A/1Bダブルホモ欠損組織にみられる、上皮管腔組織形成に関わる細胞生物学的・生化学的変化: 平成25年度には、上記(a)肺気管支、(b)肝胆管、(c)子宮内膜、(d)乳腺、(e)唾液腺等の各組織特異的における、細胞増殖、細胞死、接触抑制、組織幹細胞分化、Apico-basal極性制御、平面極性制御、上皮間葉転換等の事象の有無を検討する。
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