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2012 年度 実績報告書

胆管をモデルとした、管腔構造の発達とチューブ構造形成を制御するメカニズムの解明

公募研究

研究領域上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立
研究課題/領域番号 24112519
研究機関札幌医科大学

研究代表者

谷水 直樹  札幌医科大学, 医学部, 講師 (00333386)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード上皮管腔 / 幹・前駆細胞 / 胆管 / チューブ構造 / 3次元培養 / 基底膜
研究実績の概要

肝前駆細胞が胆管上皮細胞に分化してシストを形成する培養系を用いて、上皮細胞が形成する管腔のサイズ調節機構について解析を行った。
肝前駆細胞は、培地に添加しているMatrigelに含まれるlaminin111に依存して上皮細胞極性を形成し管腔形成を開始する。一方で、管腔形成の過程で成体の上皮組織を裏打ちする基底膜の主成分であるlaminin511/521を分泌するようになり、laminin511/521に依存して管腔が成長することを明らかにした。また、laminin111およびlaminin511/521の作用は、インテグリンα6β1を介したものであることも明らかにした。
胆管上皮細胞に特異的に発現する転写因子grainyhead-like 2 (Grhl2)による管腔サイズの調節機構について検討を行った。Grhl2は肝前駆細胞にバリア機能を付与するが、その際Claduin-3 (Cldn3)およびCldn4の発現を制御していることが分かっていた。本年度においては、阻害ペプチドを用いてCldn3と4の機能を阻害すると管腔サイズ拡張作用が抑制されることを見出し、Grhl2による管腔拡張にはCldnの機能が必須であることを明らかにした。さらにGrhl2は低分子量Gタンパク質Rab25のプロモーターに作用し、発現を調節していることがわかった。HPPLにRab25を強制発現すると密着結合に局在するCldn4の割合が増えたことから、Rab25はCldn4の密着結合への局在を制御することによって、管腔形成を促進している可能性を明らにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Lamininの組織形成への影響について検討を行い、外因性のlaminin111による極性形成および管腔形成の開始作用と、内因性のlaminin511/521による管腔の成長・成熟化作用があることを明らかにできた。また、Grhl2によるCldn3, Cldn4, Rab25の分子間ネットワーク形成によって、密着結合の成熟化が進むことを明らかにすることができた。一方、当初予定していたin vivoでのGrhl2の機能解析については、今後、積極的に取り組んでいく。

今後の研究の推進方策

Grhl2の新規ターゲット分子を同定し、管腔形成やチューブ構造形成における機能を明らかにする。また、lamininなどの基底膜成分の他に、FGFやWntなどの液性因子の管腔形成における機能を検討することによって、外部環境による管腔形成の制御についても明らかにする。さらに、Grhl2あるいはそのターゲット分子と、液性因子・細胞外マトリックスによる協調的な管腔形成の促進作用があるかについても検討を行い、上皮細胞による管腔形成・維持の分子機構を明らかにする。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Differentiation capacity of hepatic stem/progenitor cells isolated from D-galactosamine-treated rat livers.2013

    • 著者名/発表者名
      Ichinohe, N., Tanimizu, N., Ooe, H., Nakamura, Y., Mizuguchi, T., Kon, J., Hirata, K., and Mitaka, T.
    • 雑誌名

      Hepatology

      巻: 57 ページ: 1192-1202

    • DOI

      10.1002/hep.26084.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] α1- and α5-containing Laminins Regulate the Development of Bile Ducts via β1 Integrin Signals.2012

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 287 ページ: 28586-28597

    • DOI

      10.1074/jbc.M112.350488.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Grhl2 regulates epithelial morphogenesis by establishing functional tight junctions through upregulation of Cldn3, Cldn4, and Rab25.2012

    • 著者名/発表者名
      千賀 一徳
    • 雑誌名

      Molecular Biology of the Cell

      巻: 23 ページ: 2845-2855

    • DOI

      10.1091/mbc.E12-02-0097.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 肝上皮細胞による組織構造形成2012

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 84 ページ: 658-665

  • [雑誌論文] 胆管の発生と制御機構2012

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 雑誌名

      肝胆膵

      巻: 65 ページ: 73-82

  • [学会発表] マウス障害肝臓に出現する肝前駆細胞の性状解析2013

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      第12回再生医療学会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2013-03-23
  • [学会発表] Hepatic biliary epithelial cells alter the differentiation potential during the development.2012

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      American Society of Cell Biology 2012
    • 発表場所
      San Francisco, USA
    • 年月日
      2012-12-16
  • [学会発表] マウス正常および障害肝での肝細胞供給システムの解明2012

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      第19回肝細胞研究会
    • 発表場所
      札幌市
    • 年月日
      2012-06-29
  • [学会発表] 肝臓の発生過程における胆管上皮細胞の肝細胞分化能の変化2012

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      第11回日本再生医療学会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2012-06-13
  • [学会発表] A transcription factor grainyhead-like 2 regulates epithelial morphogenesis by promoting the formation of the apical lumen.2012

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 学会等名
      第45回日本発生生物学会・第64回細胞生物学会合同大会
    • 発表場所
      神戸市
    • 年月日
      2012-05-30
  • [図書] Laminins, Biological activty and disease2013

    • 著者名/発表者名
      谷水 直樹
    • 総ページ数
      In press
    • 出版者
      Nova Science Publishers, Inc.
  • [備考] 札幌医科大学 フロンティア医学研究所 組織再生学部門

    • URL

      http://web.sapmed.ac.jp/canpath/Tissue_Regeneration/zu_zhi_zai_sheng_xue_bu_men.html

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公開日: 2018-02-02  

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