研究領域 | 上皮管腔組織の形成・維持と破綻における極性シグナル制御の分子基盤の確立 |
研究課題/領域番号 |
24112526
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
北舘 祐 基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 助教 (10455214)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 上皮管腔 / 極性 / 精子形成 / 精上皮 / 精細管 / 精上皮管腔 / 血管 / 幹細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は精細管を「極性化」するメカニズムの解明を目的とする。 ヒトを含むほ乳動物において、精子は管腔構造をした精細管の中で形成される。精子形成は精細管のいたるところで行われており、その構造は「極性」がなく、均一であると考えられてきた。しかし、最近、精子の幹細胞が精細管内で均一に分布するのではなく、血管や間質の近くに、偏って存在することが明らかとなってきた。したがって、幹細胞の分布は精細管内で「極性化」されていること、さらに、精細管には血管・間質と関連した「極性」が存在することが分かってきた。 平成24年度は、独自のスクリーニングにより同定されたリガンド分泌タンパク質をコードするCXCL12を中心とした解析を行った。発現解析の結果、CXCL12発現細胞は精細管を覆うシート状構造をすること、そして、血管・間質近傍に分布することが明らかとなった。この成果は、均一な管腔構造と考えられてきた精細管において、初めて同定された極性構造といえる。CXCL12/CXCR4シグナルにおいてCXCL12の受容体であるCXCR4を発現する細胞は、CXCL12発現部位に集まることが様々な組織で知られている。CXCR4は精子幹細胞集団に発現することが明らかとなった。さらに培養下において、精子幹細胞はCXCL12発現細胞の周りに集まることが確証的となった。培養下と同じような現象が生体精巣内でも見られるか、すなわち、血管・間質近傍のCXCL12発現細胞に精子幹細胞集団が集まるかどうかが今後の検討課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は精細管を極性化するメカニズムの解明を目標としている。これまでの成果により、CXCL12発現細胞が精細管の極性と強く関わることが示された。したがって、当初の計画どおり順調に進んでいると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により、CXCL12発現細胞が精細管の極性と強く関わることが示された。今後、この細胞の遺伝子発現プロファイリングを調べる。これにより、この細胞から分泌される精細管の極性化に関わる候補因子を同定することを試みる。この解析により、精細管を極性化する細胞の特質を解析し、精細管へ外部から極性を付与する機構の解明を目指す。
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