公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
PbGCS1はオス側の受精因子であり、推定PbGCS1受容体はメス側に存在することが考えられる。この仮説に基づき、1)~2)のアプローチによりメス側に存在する推定PbGCS1受容体分子を含む新たな受精因子の同定に挑戦した。1)マラリア原虫メス、およびシロイヌナズナとイネ卵細胞の比較トランスクリプトーム解析を行い、3者間において共通して存在する相同分子をPbGCS1受容体候補としてピックアップした。2)a)メス原虫特異的に発現する遺伝子PbSRのプロモーター下にGFPまたはdsRedをつなげたプラスミドを作成し、ネズミマラリア原虫のゲノム内に挿入した。b)同様に、オス特異的に発現する遺伝子(PB791030)のプロモーター下にGFPまたはdsRedをつなげたコンストラクトを作成、マラリア原虫にトランスフェクトした。蛍光を指標にしてセルソーターを用いて雌雄原虫を別々に単離した。3)1)と2)で得たデータからマラリア原虫の受精・性成熟に関係することが考えられる候補遺伝子を順次ノックアウト(KO)し、遺伝子欠損体の受精能を調べた。その結果、メス側の性成熟に関与する遺伝子1つを同定することに成功した(論文準備中)。この分子のC末にGFPを付加したタンパクを発現する組み換え原虫を作成し、抗GFP抗体で免疫沈降を行い、LC/MS/MS解析を行い、相互作用する因子の探索を行った。4)オス側で特異的に発現している遺伝子産物の中から、オスの性成熟(鞭毛放出)に関わる遺伝子を複数個同定することに成功した。
3: やや遅れている
前年度に計画していた3つの実験計画のうち、雌雄原虫をセルソーターにより別々に単離し、それらの膜タンパクプロテオーム解析というテーマが遅れている。その理由は、セルソーターに分けるための元となる原虫を最適な状態で調製するための試行錯誤に時間を要した。これは、数多く繰り返すことで調整することが可能で、実際に繰り返し調製し、セルソーターにかけることにより次のステップである機器分析に供する十分量を調製することができた。遅延している本研究計画を次年度にも行い、データを取得できた。
前年度では、セルソーターにより雌雄原虫を別々に単離する条件を決定した。本実験では、スケールアップして原虫をソーティングするための元となる雌雄原虫の調製に時間を要したが、何度かソーティングを行うことでLC/MS/MSに必要とされる量を確保し、機器分析にかかけることができた。この実験結果で浮かび上がってきたタンパクリストからマラリア原虫の受精への関係性を検証するため、順次ノックアウトし受精能を調べる。
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