公募研究
本研究では、ヒメミカヅキモの接合時のアロ認証に関わると思われる遺伝子群を単離し、配偶子間認識、融合における役割を形質転換体作出、表現型解析を通して明らかにすることを目指した。有性生殖期に発現する受容体型キナーゼであるCpRLK1について、内在性高発現プロモーター(pCpHSP70)下流に候補遺伝子群をアンチセンス方向に挿入したコンストラクトを作製し、ヒメミカヅキモへ遺伝子導入したところ、2株で、ペア形成までは進行するものの、その後のプロトプラスト放出過程などが完全に停止する表現型が得られた。このCpRLK1は、被子植物の生殖における花粉管伸長制御に関わるCrRLK1L-1サブファミリーと近縁であり、細胞壁センサーとして,有性生殖における細胞融合過程を制御していることが示唆された。同様に有性生殖期に発現するファシクリン遺伝子(CpFAS1およびCpFAS3)について、発現を抑制するコンストラクトを作成し、本来これらの遺伝子が発現する+型細胞に導入した。これらの形質転換株を、-型細胞と混合し有性生殖を誘起したところ、野生型どうしの混合と比較し、有性生殖過程へと進んだ細胞数が減少した。有性生殖を誘起した後の培地に含まれるPR-IP InducerおよびCpFAS3タンパク質を検出したところ、CpFAS3抑制形質転換株だけでなくCpFAS1抑制形質転換株でも、野生型と比べCpFAS3タンパク質の蓄積量は低下しており、一方で両株ともでPR-IP Inducer量の増加傾向が見られた。また、PR-IP Inducerにより発現誘導されるはずのPR-IP遺伝子等の発現量も両形質転換株で著しく低下していた。以上のことより、少なくともCpFAS3は、PR-IP Inducerの受容と有性生殖過程を正常に進めるための情報伝達に関与することが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Cell Physiol.
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