公募研究
生物の多様性は盛んな種分化の反映であり、種分化は祖先種と遺伝子交流を持たない新たな集団の生成を意味する。種分化は新旧の二つのゲノムの相克のうちに進行し、それぞれのゲノムを構成する多彩な遺伝子間の協調的変化に依存する。本研究は、接合子の発生を阻む機構、すなわち交尾後生殖隔離とは別に、交配そのものを回避する交尾前生殖隔離の成立が種分化の開始に大きく寄与するとの仮説に基づき、種の分裂に際して配偶者選択に関わる遺伝子群とその働く場である細胞群、特にニューロン集団に何が起こり、どのようにしてその変化が保持されてゆくのかを解明しようとするものである。具体的には、遺伝学のモデル生物であるDrosophila melanogasterとその同胞種、D. simulansを用い、それらの種間雑種個体がmelanogaster、simulansに対して示す配偶者選択を解析するとともに、種特異的行動特性を規定するニューロンと回路を、雑種個体と母種との比較により特定することを目指している。これまでに行動レベルでは、melanogaster雄はmelanogasterとsimulans双方の雌に強く求愛し、simulans雄はほとんどもっぱらsimulansの雌を選んで求愛すること、melanogaster―simulansの種間雑種雄はsimulansの雌を好んで求愛することが明らかとなった。そしてsimulans雄や種間雑種雄がmelangasterの雌を避ける大きな要因として、体表の炭化水素の成分(フェロモンとして働く)の特性があることも確かめた。即ち、simulansが欠きmelanogasterの雌が多量に持つ7,11-Heptacosadieneが忌避因子となっていたのである。さらに神経細胞レベルでは、前肢のフェロモン受容感覚ニューロンのうち特定の細胞の存否に、母種と種間雑種個体で差のあることが判明した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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