シロイヌナズナの排出型ホウ素トランスポーターの一つBOR6にT-DNA挿入をもつ変異株のある系統で、この変異株のT-DNAについてのヘテロ接合体を自家受粉させると、ほぼ全ての後代がT-DNAについてのヘテロ接合体になっていることが見いだされました。この現象をヘテロだらけ(hdk)現象と呼ぶこととし、本研究ではそのしくみの一端を明らかにすることを目的として研究を行いました。BOR6は花粉や花粉管で特異的に発現するホウ素トランスポーターですが、この現象は遺伝し分離も観察されます。またBOR6遺伝子の欠損が原因で起こるのではなく、また、ホウ素条件非依存的に起こります。本年度はhdk現象を引き起こす原因となる遺伝子を見いだすためにhdk現象を簡易に測定する方法を開発することにしました。hdk現象を観察するには後代の植物でのBOR6へのT-DNA挿入の分離を確認する必要があり、これまではPCRによって検出してきましたが、手間がかかることからGFPの蛍光を用いた検出を行うことにしました。京都大学で開発された乾燥種子でGFPを検出できるFASTシステムの系統からBOR6遺伝子周辺にT-DNAが挿入された系統をTAIL-PCR法を用いて3株見いだし、hdk変異株との掛け合わせを行いました。また花粉の観察を行うための蛍光タンパク質を花粉特異的に発現する系統の作出を進めました。
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