公募研究
生物は生殖を経るたびに異なるゲノムと出会い調和と軋轢のバランスの上で自らのゲノムを形成していく。父親であるオスゲノムと母親であるメスゲノムの出会う場が子供ゲノムであり、その子供ゲノムにおいてどのように調和と軋轢のバランスが調製されているかを、父親・母親由来アリルを識別し、発現レベル、エピジェネティックレベルでのアリル間の「ゆらぎ」の様相を解明することを目的とし研究を開始した。最終年度である平成25年度は、これまでのデータの解析を行った。以下、これまでに配列解読を行ったデータである。1. ヒト1組(3個体)親子トリオトランスクリプトームデータ(平均4.8Gbp)。2. チンパンジー6組(12個体)トリオトランスクリプトームデータ(平均49.3Gbp)。3. チンパンジー1組(3個体)全ゲノムデータ(平均502Gbp)。4. チンパンジー5組(10個体)エキソームデータ(平均6.4Gbp)。ヒトの親子トリオゲノムデータに関してはトランスクリプトームデータと同じ親子トリオのデータを公共ゲノムデータベースから取得して用いた。これらのデータを用いて以下の結果を得た。1.親子トリオそれぞれのエキソーム(ゲノム)データとトランスクリプトームデータを組み合わせることで、父親・母親由来アリルを識別し、発現レベルでのアリル間のゆらぎの様相を的確に捉えることを可能とした。2.父親アリル・母親アリルを識別できるサイトのうち約8~12%のサイトがどちらかの親由来のアリルに偏った発現パターンを示した。3.父親・母親由来の発現アリルに偏りは認められなかった。4.アリル間の発現のゆらぎを示すサイトは種間(ヒトとチンパンジー)だけでなく種内(チンパンジー)でも共通性がほとんど見られなかったが、共通性が見られたものはインプリント遺伝子の候補遺伝子と考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Biology and Evolution
巻: in press ページ: in press
BMC Genomics
巻: 15 ページ: 35
10.1186/1471-2164-15-35
Biology Letters
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