公募研究
イネ白葉枯病菌(Xoo)は、タイプⅢ分泌システムによって、エフェクターを宿主細胞内に送り込み、宿主の防御反応を抑制している。前年度までの解析により、白葉枯病菌のXoo3222エフェクターがイネの防御応答を強く阻害することが明らかとなり、さらにXoo3222の宿主標的因子として、OsPUB44を同定した。In vitroの解析系を用いてOsPUB44の酵素活性を解析したところ、OsPUB44がユビキチンリガーゼ活性をもち、その活性はXoo3222の存在下で抑制されることが明らかになった。また、OsPUB44は、単子葉のみに存在する特徴的なU-box配列をもち、その配列がXoo3222との相互作用の特異性を決定していることが明らかになった。さらに、OsPUB44がユビキチン化する宿主因子を同定するため、酵母Two Hyrbid法を用いて探索した。その結果、単子葉特異的な機能未知なタンパク質が同定された。OsPUB44は、単子葉に特異的な免疫反応を制御している可能性が示唆される。白葉枯病菌のXoo2875もまた、強くイネの免疫応答を阻害する。Xoo2875が標的とする宿主因子を探索したところ、多くの病原菌認識受容体の共役受容体として働くOsBAK1と相互作用することが明らかとなった。Xoo2875は、OsBAK1の機能を抑制することで、様々な受容体の機能を抑制していることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに、OsPUB44がユビキチンリガーゼ活性をもつこと、さらにその活性はXoo3222によって抑制されることを明らかにすることができた。さらに、OsPUB44と相互作用する宿主因子の同定にも成功した。
OsPUB44の発現抑制体を作成し、OsPUB44を介した免疫応答を分子レベルで明らかにする。また、OsPUB44の相互作用因子の機能を解析するとともに、OsPUB44が相互作用因子をユビキチン化するかどうかを明らかにする。Xoo2875に関しては、Xoo2875によるOsBAK1の抑制機構を分子レベルで明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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