公募研究
プリオンタンパク質(PrP)の正常型から異常型への構造変換を抑える活性を持つ抗プリオン核酸のスクリーニングを試みた。これまでPrPに対して強い結合能を持つRNAアプタマー、R12(GGAGGAGGAGGA)について構造、相互作用及び活性の解析を行ってきた。その結果、R12は四重鎖構造であるとともにダイマーを形成すること、これらのプロトマーが各々PrPのN端側にある天然変性領域(IDR)に含まれる2つの離れた部位PrP-BC1とPrP-BC2に結合すること、そして、PrP-BC1:R12結合、PrP-BC2:R12結合の自由エネルギーは加算的であり解離定数には積で効いていることを示した。本年度は以上を踏まえて、R12をタンデムに連結したR24;R12とR24のDNA版であるD12とD24;その他ヒトテロメア配列を有する三種類のDNA及びRNA版であるTERRAを、各々ヒトのプリオン病を感染させたマウス神経由来細胞に作用させ、それぞれについて抗プリオン活性を調べた。そして、R24の抗プリオン活性が最も高く、R12の5倍に達することを明らかにした。そこで新たに、R24と全長PrPの複合体について構造解析を開始した。近年、上記のPrP-BC2にアルツハイマー病の主原因であるアミロイドβ(Aβ)オリゴマーが結合し、その結果、脳の機能障害が引き起こされることが報告された。本年度はAβと全長PrPの複合体について構造及び相互作用解析を試みた。まずこれらのタンパク質は異なるpH条件で溶解することが明らかとなり、混合して結合実験を行うことが出来なかった。そこで、さまざまなコンストラクト及び溶液条件を検討した結果、2つのタンパク質を混合出来る条件を見出し、さらにNMRスペクトルを測定することが出来た。今後はさらに解析を進めることで、PrPとAβ、PrPとRNAアプタマーの分子認識機構の違いを明らかにし、天然変性領域のハブ機能に関する知見を得たい。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: - ページ: 印刷中
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