公募研究
我々はメタロエンドペプチダーゼnardilysin(NRDc)が、細胞内局在に依存した多機能性(細胞外:シェディング活性化、核:転写調節)を有することを明らかにしてきた。この多機能性が成長障害や行動異常など、多岐にわたるNRDc欠損マウス(NRDc-/-)の表現型発現の原因になっていると推測される。NRDcはM16ファミリーに属するが、他のメンバーと比較して際だつ特徴は、そのプロテアーゼドメイン(M16ドメイン)に高度酸性ドメインが挿入されていることであり、同領域は典型的な天然変性(ID)領域と考えられる。既報の多くのNRDc結合タンパク質がID領域に結合することから、NRDcの機能発現にID領域が重要な働きをしていることが示唆された。したがって、本研究では、NRDcのID領域の役割の解明を目的とした。NRDcのID領域の機能解明に向け、以下の2つを検討した。1)シェディング活性化におけるNRDcのID領域の意義;COS7細胞にTNF-αなどの膜タンパク質と、野生型およびID領域を欠失した変異型NRDc(NRDc-⊿ID)を共発現し、シェディングアッセイを行ったところ、野生型NRDcに比べてNRDc-⊿IDではシェディングが減弱する傾向が見られたものの有意差は見られなかった。2)転写調節におけるNRDcのID領域の意義;GAL4-UASレポーターシステムを用いて、PGC-1αなどの転写調節因子と野生型およびNRDc-⊿IDを共発現し、ルシフェラーゼアッセイを行ったところ、野生型NRDcでは転写活性の抑制が見られたものの、NRDc-⊿IDでは抑制効果が見られなかったものもあることから、NRDcのID領域が一部の転写調節因子の活性制御に寄与している可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nat. Commun.
巻: 5 ページ: 3224
doi: 10.1038/ncomms4224.
Neurobiol. Aging.
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doi: 10.1016/j.neurobiolaging.2013.07.014. Epub 2013 Aug 15.