研究領域 | 天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現 |
研究課題/領域番号 |
24113718
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
湯澤 聡 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40515029)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 蛋白質 / 分子認識 / 天然変性蛋白質 / NMR / X線結晶構造解析 |
研究実績の概要 |
細胞表層で,NuMA (nuclear mitotic apparatus protein)はパートナータンパク質LGNと複合体を形成し紡錘体の形成と機能を制御する.また,LGNのパートナー分子として細胞極性の制御に関与するInscuteable (mInsc)も知られている.NuMAとInscのLGN結合領域の間には有意なアミノ酸配列の相同性は見られないが,共にLGN TPRドメインと相互作用する.我々は新たにFrmpd1とFrmpd4にLGN結合領域を見出し,この領域を介してLGN TPRドメインと結合することを示した.これら4つのパートナー分子がLGN TPRドメインとの結合に関して互いに排他的な関係にあること,またLGN TPRドメインの凹面と相互作用する可能性を変異体を用いた相互作用解析により明らかにした.LGN結合領域を持つタンパク質Frmpa1とFrmpd4によるLGNの分子認識機構を明らかにするためX線結晶構造解析を試みた.LGNに対するFrmpd1と Frmpd4の結合領域との解離定数を見積ると, それぞれFrmpd1で~100 nM,Frmpd4で~50 nMだった.LGN TPRドメインとFrmpdタンパク質のLGN 結合領域との複合体について,タンパク質複合体の発現・精製・結晶化を進めた.Frmpd-LGN複合体の結晶化条件の精密化を行ない,回折実験に適した結晶を得ることに成功した.現在,高エネルギー加速器研究機構 フォトンファクトリーで回折実験を行なっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該課題で設定した研究項目のうち,当年度は新たに見出したLGN結合領域を持つタンパク質Frmpa1とFrmpd4によるLGNの分子認識機構を明らかにすることを試みた. LGN TPRドメインとFrmpdタンパク質のLGN 結合領域との複合体について,タンパク質複合体の発現・精製・結晶化を行い構造生物学的・生化学的研究を進めている.従って,当該課題は研究計画に従いおおむね順調に進展しているものと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
新たに見出したLGN結合領域を持つタンパク質Frmpa1とFrmpd4によるLGNの分子認識機構を明らかにし,NuMAを含むLGNパートナー分子群によるID領域を介した標的分子LGNの認識機構と複合体形成の作用機構に関する知見を得る.さらに,当該課題で設定した項目について,当初の研究計画に従い,引き続き当該課題を推進する予定である.
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