研究概要 |
細胞表層でNuMAはパートナータンパク質LGNと複合体を形成し, 紡錘体の形成とその機能を制御する.一方, 細胞極性の制御に関与するInscuteable (mInsc)もLGNのパートナー分子として知られている. mInsc-LGN複合体の構造解析および生化学的な解析から, NuMAとmInscは共にLGN TPRドメインの凹面で認識され, mInscがNuMAに優先してLGNに結合できることを明らかにした.そして,新たにFrmpd1とFrmpd4にLGN結合領域を見出し,この領域を介してLGN TPRドメインと結合することを示した. 本研究では,それぞれのパートナー分子のLGN結合領域によるLGNの認識機構を比較しその特性を明らかにすることで,NuMAを含むLGNパートナー分子との複合体形成の作用機構を明らかにすることを目指している.当該年度は,引き続きFrmpd4-LGN複合体についてX線結晶構造解析を進めた.LGN結合領域を含む長さの異なるFrmpd4タンパク質を準備し,LGNとの複合体の結晶化を試みた.いくつかの条件でFrmpd4-LGN複合体の結晶が得られ,これらの結晶を用いてX線回折実験を行った.mInsc-LGN複合体の結晶構造をサーチモデルとして分子置換法により位相決定を行い,最終的に2.1オングストローム分解能で複合体の結晶構造を決定した.Frmpd4は伸びた構造を持ち,LGN TPRドメインが形成するスーパーヘリクスの内側で認識され, Frmpd4とLGNの相互作用はmInscによるLGNの認識と部分的に類似していることを明らかにした.一方,mInsc複合体とは異なり,Frmpd4複合体ではLGN TPRドメインのキャッピングヘリックスはディスオーダーしていた.現在,更に他の条件で得られた結晶についても構造解析を進めている.
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