公募研究
Alu配列はヒトゲノム中の100万コピー以上もあるとされ、全ゲノムの約10%を占める. Alu配列の機能についてはいくつか報告があるが、報告例は少なく実際例の積み重ねが必要である。今回 2)Alu element間での組み換えによるDNA断片の重複、欠失誘導の実際例の解析:β-ケトチオラーゼ(T2)欠損症、SCOT欠損症のみでなくCPT2欠損症、CACT欠損症、HMG-CoAリアーゼ欠損症の診断のためのMLPA法の確立を行い、Alu elementによるnon-equal homologous recombinationの例の収集を試みた.現在T2欠損症で2つの欠失、1つの重複、SCOT欠損症で1つの欠失、HMG-CoAリアーゼ欠損で1つの欠失を同定することができ、切断点の解析を行っている.2)イントロン内のAlu 配列のスプライシング(エクソン認識)に対する影響の検討.T2(ACAT1) 遺伝子でエクソン10は短く、splice acceptor部位の認識が弱くexonic splicing enhancerが必要なエクソンである.そこで、そのsplice acceptor部位の上流にAlu配列を順方向に2つ、もしくは逆方向に2つ組み込むことで、エクソン10のスプライシングにどのような影響を与えうるかを調べるベクターの構築を行った.その結果Alu配列を逆方向に2つ挿入すると、エクソン10を認識しにくくなり.正方向にいれても影響しないことが示された.現在そのことを再度確認中である.これはAlu配列があることが、その近傍のエクソン認識に影響を与えることを示していると思われる.
2: おおむね順調に進展している
1)Alu element間での組み換えによるDNA断片の重複、欠失誘導の実際例の解析においても、T2, SCOT欠損症のためのMLPA法の確立にとどまらず、CPT2欠損症、CACT欠損症、HMG-CoAリアーゼ欠損症のMLPA法を確立でき、まずこれらの疾患の遺伝子診断にとって有用となったこと.さらにその中から一定の欠失、重複例を見つけることができ、現在その解析をすすめ論文作成中である.2)イントロン内のAlu 配列のスプライシング(エクソン認識)に対する影響の検討では最初ACAT1遺伝子のエクソン3-5の領域を用いて解析する予定であったが、他の研究からエクソン10を含むconstructを応用することにしたため、かなりスムーズに実験系が作成でき.一定の結果が得られそうである.
Alu element間での組み換えによるDNA断片の重複、欠失誘導の実際例の解析切断点の解析からどのようなAlu配列間のどの領域で組換えが生じやすいのか、自験例、報告例についてまとめる。新たに同定したAlu elementsによる組換え例については論文報告を行う。イントロン内のAlu elementのスプライシング(エクソン認識)に対する影響の検討計画ではT2遺伝子のエクソン2-5で例をあげたが、現在エクソン10近傍の配列での検討をおこなっており、そこでさらに詳細な検討を行う。それによりAlu elementの有無がスプライシングに与える影響についてまとめる。またエクソン認識に影響を与えるAlu elementが同定出来れば、そのエクソンとの距離を種々に変更したベクター、変異を導入したベクターを作成し、その影響について検討を加える。2年間の結果を論文として公表出来るようにする
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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