現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は卵母細胞の核小体成分を同定後に機能解析する上で必須となる基本的な系の開発をを試みるので手一杯になってしまい,卵母細胞核小体を構成するRNA成分の同定・機能解析が進まなかった。 マウスES細胞から始原生殖様細胞へと分化させたのち卵巣へと移植することで卵母細胞を誘導する系を共同研究により確立できたのは評価できる点であるが,実際本研究でこの系を使用するためには卵巣に移植せずに完全に体外でES細胞から卵母細胞を作出する系の確立が必須となってくる。ES細胞から分化誘導された始原生殖様細胞は胎児卵巣由来の体細胞と共培養することで卵母細胞へと分化する。この細胞を体外で発育させれば発生能力を備えた哺乳類卵母細胞を体外で作出できるはずである。1996年にEppigとO'brienによりマウス卵母細胞の体外発育法が報告されているが (cf. Biol Reprod, 1996, 54, pp.197-207.),他研究室から追試の報告がない。実際我々もこの報告に従い卵巣内の原始卵胞由来卵母細胞を体外発育培養し産仔作出を試みたがうまくいかなかった。ただ,ある程度発育が進んだ二次卵胞由来卵母細胞を体外で発育させたのち体外成熟・体外受精を行い産仔を得ることには成功している。この系の開発に手こずり研究進捗が遅れているが哺乳類卵母細胞におけるタンパク質・RNA成分の機能解析につきまとう材料不足の根源的な解決につながることは間違いないので後悔はない。
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