研究概要 |
核小体はタンパク質合成を担うリボソームの構築を行う細胞小器官として古くから知られているが近年それ以外の機能も示唆されており核小体に含まれる成分・役割に関して不明な点が多い。我々は卵母細胞核小体成分のない受精卵が受精後のクロマチン構築に異常を生じることから、卵母細胞核小体がクロマチン構築を制御することで染色体構造の維持、安定な伝播に関与することを示唆した。本研究では卵母細胞核小体に含まれるRNAを同定し染色体構造維持、安定な伝播に関与する因子を同定することを目的としている。 まず、顕微操作により核小体を単離しProtease, RNase, DNase溶液中に置くとDNase溶液中では核小体構造に変化はなかったがProtease, RNase溶液中ではすぐその構造が消失した。つまり卵母細胞核小体構造にはタンパク質とRNAが必要であることを確認した。また、一つの核小体に0.5 pgの20-200 bpに分布するsmall RNAが含まれることをBioanalyzerにより同定した。少量のマウス卵母細胞核小体からRNA seqによってRNA成分を同定することを開始し、現在RNA seq用のライブラリーを構築しsequenceを開始しようとしている。また、より高効率にゲノム編集を行えるCRISPR法を用いてノックアウト・ノックインマウスを作成することに成功した。今後は核小体中に含まれるsmall RNA成分を同定しその機能を解析していく。
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