研究領域 | 植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明 |
研究課題/領域番号 |
24114701
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 淳二 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10183120)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ユビキチンリガーゼ / 代謝 / タンパク質分解 / 地球環境 / バイオマス |
研究実績の概要 |
本研究計画では,高CO2条件下におけるC/N応答制御の分子ネットワーク全容解明を目指している。今年度は,計画1),2)のタンパク質相互作用に着目したC/Nシグナル伝達の分子基盤解析に加えて,3)CO2/Nによる植物の成長制御に関しても「花成」および「老化」に着目した生理学的解析を進めた。 1)これまでのC/Nシグナル研究の発展として,ユビキチンリガーゼATL31とターゲット分子14-3-3の相互作用について詳細な解析を行い,14-3-3の結合に必要なATL31タンパク質内のドメインおよびリン酸化修飾の必要性について明らかにした。 2)ATL31は植物免疫にも関与することを明らかにした(Maekawa et al. Plant Mol Biol 2012)。 また,このATL31のC/N応答には,膜局在性が重要であることを明らかにしている。これまでに,クロスリンカーを使用したATL31-FLAGのプロテオーム解析により,新たにSNAREやRABタンパク質の同定に成功している。SNAREは,膜交通(membrane traffic)の鍵となり,分泌小胞の細胞膜上の位置決めを担当している。SNAREの機能として有名なのが,PEN1(=SYP121:SNAREメンバー)を媒介としたパピラ形成による病原体抵抗性(植物免疫)反応である。実際にATL31過剰発現体ではパピラ形成速度が上昇し,うどん粉菌への抵抗性が上昇することが分かった。 3)植物生活環の転換点である「花成」および「老化」現象に着目して,CO2/Nバランスが植物の成長に与える影響を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3つの計画全体に進展があり,それが統合的なレベルになってきている。今後も長期的展望に基づき研究を継続する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たり,すでに得られた研究成果をまとめ,論文報告に結びつけるとともに,将来を見据えた布石を打ちつつ,研究を進展させたい。
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