公募研究
シロイヌナズナ変異株restricted sucrose export1 (rsx1)株では伴細胞(CC)-篩要素(SE)間など、維管束の細胞間の細胞壁でPD形成が異常となり、葉のソース化に伴う糖転流経路の構築がうまくゆかない変異株である。1.rsx1変異株では、ProSUC2支配下でソース葉のCC特異的に発現させたGFPがシンク葉へうまく転流されなかったことから、rsx1変異株の原形質連絡異常は、一部のタンパク質透過も制限することをあきらかにした。2.高CO2環境の影響: 高CO2(780 ppm)環境下で18日間育成させた野生型シロイヌナズナでは、第1葉からシンク組織(シンク葉と根)への14CO2固定産物の転流が顕著に増加した。また、第一葉主脈の篩管の原形質連絡の数も増加した。RT-PCR解析から、通常環境下で主要な糖転流経路(AP経路)を支配するSUC2トランスポータの発現レベルは高CO2環境下でほとんど変わらなかった。一方、SUT4トランスポータや、アポプラストにショ糖を放出するSWEET12エフラクサーの発現レベルが上昇した。以上の結果から、シロイヌナズナの第一葉では、高CO2環境に応答してSUT4の発現が上昇し、CC-SE間の原形質連絡を介してSEにターゲットさせることにより、SWEET-SUT4アポプラスト経路を強化し、糖転流活性を上昇させるいう仮説を提唱した(Duan et al. 2014、PCP)。3. 高CO2環境下で生育させたPro35S:RSX1-sGFP植物では野性型に較べて糖転流レベルの増加が見られ、葉のデンプン蓄積レベルが低下した。RSX1-sGFPの過剰発現は、糖転流を改善すると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant and Cell Physiology
巻: 55 ページ: 358-369
doi:10.1093/pcp/pcu004
http://www.molbiol.saitama-u.ac.jp/~nishida/Nishida_Lab/Pub60.html