• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

高二酸化炭素環境下における二酸化炭素透過性アクアポリンの活性制御

公募研究

研究領域植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明
研究課題/領域番号 24114709
研究機関岡山大学

研究代表者

森 泉  岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (40379805)

研究期間 (年度) 2012-06-28 – 2014-03-31
キーワード光合成 / 二酸化炭素 / 気孔 / 葉肉抵抗 / アクアポリン
研究実績の概要

アクアポリンは水および非イオン性極性低分子の生体膜透過性を司るチャネルタンパク質であり,二酸化炭素もその透過基質であると考えられている.アクアポリン遺伝子は植物ゲノム上に30以上あることが知られているが,二酸化炭素透過性の解析方法が煩雑であるために,どの程度のアクアポリン分子が二酸化炭素を透過するのかは未だ不明である.そこで本研究では,アクアポリンの二酸化炭素透過性をハイスループットに評価する方法の開発を進めた.出芽酵母にpH感受性GFPを構成的に発現させ,アクアポリン遺伝子を誘導的に発現させる実験系を用いて,効率的にシロイヌナズナ,イネ,オオムギのアクアポリンのCO2透過性を半定量解析した.これまでは,主にPIP1型のアクアポリンがCO2を透過すると予想されていたが,この解析によりPIP2型に属するアクアポリンに二酸化炭素透過性の高い分子があることが明らかになった.シロイヌナズナにおいてはPIP2;5のCO2透過性が高いことが示唆された.
葉肉細胞(MCP)と孔辺細胞(GCP)のプロトプラストを調製し,半定量RT-PCR法によりPIP2;5のmRNA蓄積量がGCPで高いことが分かった.この結果を踏まえ,現在pip2;5ノックダウン株の気孔のCO2応答性および光合成特性を気孔コンダクタンスに着目して評価している.野生型とpip2;5変異体のA/Ciカーブは非常に似通っており,PIP2;5の葉肉コンダクタンスへの貢献はないもしくは非常に小さいと考えられる.これはMCPとGCP間の発現様式を考慮すると合理的な結果である.
出芽酵母を使ったCO2透過性実験において,PIP2;4はCO2透過性を示さなかったが,葉肉細胞で卓越して発現していることが示された.pip2;4破壊株の光合成特性を葉肉コンダクタンスに着目して解析した結果,光合成特性が著しく低下していることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

二酸化炭素を透過するアクアポリン分子の解析が進み,関連する遺伝子破壊株を得て,生理学的な解析が進んだことは予定通りである.
遺伝子破壊株のうち,PIP2;5が気孔コンダクタンスに異常があることが分かった.これも本研究課題の仮説を指示する結果であり,当初の目的を達成していると考えられる.さらに,PIP2;5は葉肉コンダクタンスには影響しないことが明らかとなり,PIP型アクアポリン間での機能の組織間での分化があることが示唆され,今後の研究の展開に予想以上の成果が得られた.
本研究の早い段階で二酸化炭素を透過しないことが分かったPIP2;4について,同領域のたの班員からの示唆により,さらに研究を進めた結果,PIP2;4遺伝子破壊株の葉肉コンダクタンスに異常が見られたことから,当初の研究目的以上の成果が得られた.
一方,高二酸化炭素条件でのアクアポリンの挙動の解析については本年度手が付けられなかったが,上述の成果はこれを補ってあまりある成果だと考えている.

今後の研究の推進方策

葉肉コンダクタンスに異常があると予想されたpip2;4遺伝子破壊株について,さらに詳細な解析を加える必要がある.葉肉コンダクタンスの測定が可能な研究室は世界にも多くないが,同領域の班員に協力を求めた.今後,精緻な葉肉コンダクタンスの測定を行うことにより,光合成への二酸化炭素供給におけるアクアポリンの役割を解明する.
さらに,高二酸化炭素環境下でのPIP2;4の消長を解析することで,植物が高二酸化炭素環境下で,翻って低二酸化炭素環境下においても,二酸化炭素透過型のアクアポリンがどのように貢献しているかが明らかとなる.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Catalases negatively regulate methyl jasmonate signaling in guard cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Jannat R
    • 雑誌名

      J Plant Physiol

      巻: 169 ページ: 1012-1016

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1016/j.jplph.2012.03.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cooperative function of PLDδ and PLDα1 in abscisic acid-induced stomatal closure in Arabidopsis.2012

    • 著者名/発表者名
      Uraji M
    • 雑誌名

      Plant Physiol

      巻: 159 ページ: 450-460

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1104/pp.112.195578

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-02-02  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi