研究領域 | 植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明 |
研究課題/領域番号 |
24114711
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研究機関 | 独立行政法人農業環境技術研究所 |
研究代表者 |
酒井 英光 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 主任研究員 (00354051)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | イネ / 開放系大気CO2増加 / シンク生成 / 遺伝的変化 / 収量 |
研究実績の概要 |
今後も予想される大気CO2濃度の上昇は光合成を促進し、作物の収量や品質にも影響を及ぼすが、イネにおいてどのような遺伝的形質がCO2応答性に関与しているかは明らかではない。本研究では、CO2応答性の遺伝的変異のメカニズムに関与する形質として考えられるシンク生成能に焦点を当て、FACE(開放系大気CO2増加)実験施設で高CO2処理(外気+200ppm)を行い、以下の遺伝材料を実験に供試した:SLgn1(1穂モミ数が多いコシヒカリのCSSL(染色体断片置換系統))、SLsps1(葉からの光合成産物転流能力の高いコシヒカリのCSSL)、およびRM645(1穂モミ数が極端に少ない農林8号のNIL(準同質遺伝子系統))。 コシヒカリは高CO2処理により、総モミ数、粗玄米収量はそれぞれ13.0%、12.5%増加した。コシヒカリのCSSLであるSLgn1は、不稔の多発によりCO2応答の比較はできなかった。同じくコシヒカリのCSSLであるSLsps1の総モミ数、粗玄米収量は、コシヒカリに対してそれぞれ27.9%、4.7%増加し、高CO2処理により12.5%、12.5%増加した。以上の結果より、シンク器官であるモミの生成能の向上は、高CO2による増加率には影響を与えなかったものの、高CO2条件下においても収量レベルを引き上げ、高CO2による増収量自体を増加させると推察された。 農林8号は高CO2処理により、総モミ数、粗玄米収量はそれぞれ3.1%、11.0%増加した。農林8号のNILであるRM645の総モミ数は、農林8号に対して50.9%減少し、高CO2処理により4.8%増加した。粗玄米収量は、農林8号に対して53.0%減少し、高CO2処理により16.6%増加した。この結果より、シンク生成能の低下は、高CO2による光合成量の増加による登熟性の向上により収量応答が補填されると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FACE実験施設を用いた圃場実験を行い、モミの生成能力の異なる遺伝材料の高CO2応答を検証することが出来た。その結果、モミ数に対する生成能力は、高CO2条件においてもイネの収量向上には有効であることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は引き続き、シンク生成能とCO2応答性の関連性を調査する。今年度はモミ数の遺伝的変異に着目したが、次年度はモミのサイズの異なる遺伝材料を用いてFACE実験を行う予定である。
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