研究領域 | 植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明 |
研究課題/領域番号 |
24114713
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
花田 耕介 独立行政法人理化学研究所, 機能開発研究グループ, 客員研究員 (50462718)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | CO2 / 進化 / 比較ゲノム / 種子植物 / シロイヌナズナ / イネ / 温暖化 / トランスクリプトーム |
研究実績の概要 |
申請者は、短い遺伝子を推定することに特化した方法を開発し、植物のモデル生物種であるシロイヌナズナおよびイネで、多数の短い遺伝子を新規に同定することに成功した。その後、既知の全遺伝子および新規の短い遺伝子で、様々な発生段階と様々な環境ストレス条件下で、発現している短い遺伝子を同定し、発現が確認された遺伝子の中でも、複数の植物種で保存性が高い短い遺伝子を選抜し、過剰発現体を構築した。その結果、現在まで、73個で形態形成の異常あるいはストレス耐性を示す遺伝子を見出している。これらの結果の一部が、今年度、論文発表されている(Hanada K, Higuchi M et al., PNAS, in press)。このように、各現象に関係する遺伝子を同定するためには、その現象に対応するトランスクリプトームデータを構築することは重要である。つまり、高CO2下でのトランスクリプトームデータを構築することは、CO2応答メカニズムを理解することに繋がり、本学術の目的の一つである高CO2適応植物の創出に大きく貢献すると期待できる。そのため、本研究では、高CO2応答のトランクリプトームデータをモデル生物種で構築し、種子植物で保存されている短い遺伝子に関しては、過剰発現体による表現型のスクリーニングを行い、短い遺伝子によってコードされるペプチドが関与する新規の高CO2応答メカニズムを発見することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、単子葉のモデル植物種であるイネにおいて、高CO2下でのトランスクリプトームデータ構築することを計画していた。その結果、植物種の違いによる高CO2応答を調べると、シロイヌナズナでは高CO2下でストレス性の遺伝子の発現が上昇しているが、イネではストレス性の遺伝子の発現が上昇しておらず、分子レベルで高CO2応答の違いがあることが示唆されている。このように、植物種間で高CO2応答の違いがかなりあることが予想された。このように、計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、単子葉のモデル植物種であるイネにおいて、高CO2下でのトランスクリプトームデータ構築したものを、データーベースとしてまとめて、新領域のコンソーシアムのメンバーに公開する。さらに、複数の植物種で保存している高CO2応答を行う短い遺伝子の機能解析をコンソーシアムのメンバーと協力して行うことを計画している。
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