研究領域 | 少数性生物学―個と多数の狭間が織りなす生命現象の探求― |
研究課題/領域番号 |
24115505
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
濱田 勉 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (40432140)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | DNA高次構造 / 微小空間 / 脂質膜 / 表面効果 |
研究実績の概要 |
細胞は、脂質膜で覆われたマイクロメートル空間にて、DNAの高次構造を制御し、遺伝子発現機能を行っている。DNAは、細胞内の代表的少数分子であり、その振る舞いの理解は少数分子システムの法則解明に必須である。細胞空間の界面を形成する脂質膜は、流動的なソフトマター特性を持ち、相分離形成によるヘテロ構造(脂質ラフトなど)を備える。細胞サイズの微小空間では表面効果が顕著になるため、このような脂質膜ソフト界面との相互作用が、細胞内部のDNA高次構造に大きな影響を与えることが予想される。そこで、細胞サイズの単分子膜油中液滴を用いて、ヘテロな膜界面を備えた細胞模擬空間を作り出し、小胞内でのDNA高次構造を解析した。T4ファージDNAに蛍光色素YOYO-1を加え、ポリアミンspermidine(SPD)によりDNAの高次構造(coilおよびglobule状態)を調整した。細胞サイズ液滴内部のDNAを顕微鏡観察した結果、膜曲率(小胞サイズ)やヘテロな膜界面パターンに依存して、DNAが膜と特異的に相互作用すること(微小空間特性)を見出した。SPDおよび小胞サイズをパラメータにして、DNAの膜吸着に関する相図を構築した。DNAが膜表面へ吸着するためには、ある臨界小胞サイズが必要であった。また、DNA分子は、その高次構造に依存して、吸着する膜領域を変化させた。さらに、DNAの高分子特性および膜の弾性特性を考慮した自由エネルギーを考案し、DNA分子挙動のメカニズムを説明した。これらの成果をまとめた学術論文を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である、細胞サイズ領域の微小空間特性を実験的に見いだすことに成功している。細胞サイズ小胞内部のDNA分子の振る舞いは、空間境界である脂質膜のソフトマター特性によって制御されることが明らかになり、微小空間の分子反応の統一的理解に向け、研究が順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度、細胞サイズの単分子膜油中液滴を用いて、ヘテロな膜界面を備えた細胞模擬空間でのDNA分子挙動を解析した。今年度は、この成果を進展させ、DNA高次構造変化の微小空間特性の基本原理を明らかにする。先ずは、実験で観察されたDNA高次構造と膜曲率の相図、およびヘテロ界面効果を記述する物理モデルを完成させる。さらに、細胞内の分子の混み合い環境を模倣するため、PEGポリマーやコロイドを小胞内部に封入する。そして、これら生体模倣環境を再構成した細胞モデル空間における、DNA分子挙動を解明する。 また、油中液滴は、リポソームを作成する前駆体であるため、2分子膜リポソーム系への展開を試みる。2分子膜内外層の脂質組成の非対称性、荷電脂質の含有、選択的イオン担体を用いた膜電位などを組み合わせた再構成条件を検討する。
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