本研究は、唯一、試験管内再構成が可能なシアノバクテリア由来の時計タンパク質を脂質二重膜小胞による微小空間、またはマイクロ・ナノ微細加工技術に基づいて作製した微小空間(容積サブフェムトリットルのナノメゾサイズチャンバー)内に封入し、分子数を制御した上で環境条件を変化させ、外乱に対する時計活性の正確性、それらの分子数との関係を明らかにし、外環境の揺らぎに対する対応機構とその限界に迫ることを目的とする。 本年度は、微小空間での反応を自在に行うことが出来る系の確立を目的とした、マイクロボットへの実装用マイクロ・ナノピペットを用いた極微少量噴出実験にを行った。噴出原理として高粘性の生体試料の噴出が可能な電気浸透現象を利用し、実際に噴出実験を行い、局所環境が制御される様子を確認した。本システムを用いることで動的な環境操作が可能となるため、動的な環境下での生物時計活性の検出に応用することができる。また、時計の正確性の維持において重要である同期現象における生物時計安定性の評価を試みたところ、2時間に全体量の20%の時計タンパク質(KaiC)を更新するとリズムが保てなくなることが明らかとなった。
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