公募研究
本研究は、(1)サブミリ秒時間分解能で生細胞上の1蛍光分子を追跡できる、高感度-高速カメラ顕微鏡システムをさらに発展させ、多数の蛍光標識分子を同時に、1分子毎に追跡できる、3次元1分子イメジング顕微鏡を開発すること、(2)その顕微鏡を使って、少数分子からなる動的E-カドヘリン複合体がどのように動き、会合/解離し、アクチン線維による制御を受け、細胞間接着構造であるアドヒーレンス・ジャンクション(AJ)の形成と分解をおこなっているか、を解明することを目的としている。本年度は、以下の研究進捗があった。1.0.7ミクロンずらした2つの焦点面を、2台の高速カメラで同時観察し、それぞれの焦点面における1分子像の強度分布をもとに、深さ方向1ミクロンの範囲でz座標を決めるプログラムを開発した。さらに、対物レンズをマウントしたピエゾzスキャナを、30 Hzの正弦波駆動で最大10ミクロンにわたって繰り返しスキャンし、1ミクロンおきに高速撮像(5ミクロン範囲の追跡の場合は露光時間最大1ミリ秒、10ミクロン範囲では最大0.4ミリ秒)をおこなった。光学音響素子によってレーザー照射のタイミングをカメラの露光時間に同期させた。2.開発した顕微鏡システムにより、細胞膜上の受容体(鉄イオン輸送分子トランスフェリン受容体、細胞間接着分子E-カドヘリン)の3次元1分子運動追跡を試みた。x, y方向に30ミクロン、z方向に5ミクロン(1ミクロンおきに1ミリ秒露光)にわたる、受容体1分子像の30 Hz(ビデオ速度)での繰り返し撮影に成功した。ただし、z座標の高精度の位置決めと、数秒以上の3次元1分子運動追跡のためには、1分子蛍光像のシグナル/ノイズ比、および、観察可能時間(褪色までの時間)が不十分であり、使用する蛍光プローブとターゲット分子の標識法、観察条件のさらなる改善を要することが明らかとなった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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