病原性細菌のIII型分泌機構の病原性発揮機構に関して、一分子蛍光測定による解析を行った。III型分泌機構の病原因子の発現は細菌内で数十個程度と少数の発現レベルで制御されている。細菌は一つのクローンの集合体だが、III型分泌機構の病原因子の発現は、それぞれの因子で異なり、細菌個々のばらつきが多い。特に分泌装置とその病原因子の発現は、集団としては調節因子により同程度に調節されているが、個々の細菌では異なっていた。 今後少数の因子による病原性発揮機構を解析する上で、一分子の発現数の計測をもとに、少数分子の厳密な発現調節を行いながら、少数分子の働きを解析する必要があると考えられた。蛋白質個々の発現は蛋白の生成と分解で成り立っており、生成能と分解能を調節したうえで少数の因子発現を調節必要がある。現在、蛋白の生成速度と分解速度を調節して一細菌当たり10個から200個程度の範囲で発現量を調節するシステムを開発している。
|