公募研究
フェムトリットルの桁をもつマイクロチャンバーに蛍光標識したリン酸結合蛋白を閉じ込め、少数個蛋白からのリン酸の解離を測定する実験系を構築することが本研究の課題である。今年度は、まずPDMSチャンバーを作成する装置の再構築を行い、遮光した正立顕微鏡を用いてチャンバー内の蛍光標識リン酸結合蛋白の観察を行った。その後、恒温室で倒立顕微鏡観察に切り替えた。その過程でチャンバーの乾燥問題への対処、ステージのドリフト問題の解消、チャンバーのサイズや形状の再検討、材質の検討を行った。特筆すべき成果としては、ます、チャンバーのサイズを約2/3まで縮小することができたことである。この小さ目のチャンバーにおいても蛍光標識リン酸結合蛋白を閉じ込め、レーザー照射による退色からの蛍光復活がないことから溶液の漏れがないことを確認できた。次に、チャンバーの形状をこれまでの円筒形からステージの方向に細長くなった直方体に変更したものについても実験を行った。今後、この1μm ×1μm×10μmの直方体チャンバーに線維状蛋白を閉じ込め、局所的なリン酸解離検出を目指す。更に、油中のdropletチャンバーを用いた実験も行い、リン酸結合蛋白の封入に成功した。この実験系で、PDMSチャンバー同様に、リン酸を結合したリン酸結合蛋白のチャンバーの蛍光強度はリン酸無しの場合に比べて高くなることを確認することができた。Dropletチャンバーでは溶液の漏れが少なく、封入の耐久時間も長いことが予想される。また、溶液交換が可能になること、体積をフェムトリットルよりも小さくできることから、今後の実験においてturnoverの遅い蛋白質からのリン酸検出が見込まれる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biophysical Journal
巻: 105 ページ: 2541-2548
10.1016/j.bpj.2013.10.018.