研究領域 | 少数性生物学―個と多数の狭間が織りなす生命現象の探求― |
研究課題/領域番号 |
24115518
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
曽和 義幸 法政大学, 生命科学部, 講師 (10519440)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 細菌べん毛モーター / 分子モーター |
研究実績の概要 |
細菌べん毛モーターは,細胞膜を介した電気化学的勾配にしたがって流入するイオンから得られるエネルギーを利用して,回転トルクを生み出す超分子複合体である.本研究では,生きている細胞内において機能しているモーター素子を蛍光標識し,その位置を追跡して,モーター機能のダイナミクスを直接的に観察することを目指している. 平成24年度は,(1) テトラメチルローダミンで蛍光染色したモータータンパク質の動きを細胞内において1分子レベルで観察すること,(2) 光活性化蛍光タンパク質を利用したPALM(photoactivated localization microscopy)を応用して個々のモーター素子のモーター内での配置を決定する系を開発すること,の2点を中心に研究を遂行した.まず,数分子のトラメチルローダミンでモータータンパク質を標識する条件を見出し,細胞内で機能する様子を捉えることができた.さらに,蛍光褪色にともなって,1分子のモータータンパク質の動きを観察することに実験例は少ないものの成功した.つぎに,活性化する蛍光タンパク質PA-GFPおよびmEOSをモータータンパク質と融合させて発現し,それらがモーター機能を保持することを確認した.また,作成した融合タンパク質の光活性化能について評価するために,全反射型蛍光顕微鏡システムに水銀ランプから紫外光を導入した.今後,作成した融合タンパク質の詳細な機能評価をおこなう予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モーター機能を観察するのに最も重要となる1分子レベルでモーターを蛍光標識する条件の検討が順調に進んだため.また,領域研究の利点である情報交換によって光活性化蛍光タンパク質を利用した研究に進展もあったため.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続いて蛍光観察の条件検討をおこなう.また,蛍光分子の追跡の精度がさらに必要であるため,現在進めているより比較的高い出力のレーザーの装置への組み込みを完成させて,5 nm程度の位置精度を目指す.これらを統合して,モーターの機能の可視化へと研究を展開する予定である.
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