RNA干渉は、20-30残基長の短いRNA鎖を含んだRISC(RNA-induced silencing complex)と呼ばれるRNA-蛋白質複合体(RNP)が、標的RNAを認識・切断する現象であり、細胞内の様々な制御に関わっている。本課題では、RNA干渉の分子機構を探る為に、蛍光1分子観察技術を用いて、リアルタイム観察を行った。本年度も引続きRISCの形成過程と、標的切断の過程の観察を行った。RISC形成過程では、Argonaute蛋白質(以下Ago)が短いRNA鎖(以下siRNA)がHsc70/HSP90を中心としたシャペロンの助けを借りて、取込まれるが、どの段階で、どのようにシャペロンが寄与しているのかは明らかではなかった。そこで、Ago、RNA鎖をそれぞれ蛍光標識して観察を行った。ガラス基板にAgoを固定し、蛍光標識RNA鎖やシャペロン等の必要因子を加えると、蛍光RNA鎖がAgoに取込まれ、RISCが形成される様を観察する事に成功した。解析の結果、シャペロンは、siRNA/Dicer-2/R2D2複合体がAgoに結合する時間を引き延ばす事でRISC形成効率に寄与していることが明らかになった。標的切断過程の観察では、蛍光標識した標的RNAをガラス基板上に固定し、蛍光標識RISCの相互作用と標的切断の様子を感sつした。その結果、RISCは2つのドメインを上手く使い分けて、効率的に切断を行っている事が明らかになった。
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