公募研究
lincRNA-p21ヘテロ接合体マウス (lincRNA-p21+/geo)、及びp53KOバックグラウンドでのlincRNA-p21+/geoのマウスを作出し、X-gal染色によりlincRNA-p21の発現を解析した。その結果、lincRNA-p21+/geoでは、小脳、脳脈絡叢、膵臓、心房等で染色が確認されたが、p53KOバックグラウンドではそれらの染色は全て消失した。RT-PCRでの発現解析では、発現が完全に消失する訳ではなく、かなり抑制されているということが分かった。このことは、このncRNAが生体においてもp53の支配を受けていることを示唆している。lincRNA-p21 geo /geo(ホモ接合体)は、外見上目立つ表現型は示さず、生殖能力も正常である。p53 KOが、6ヶ月齢までにほとんどの個体で腫瘍が発生するのに対し、lincRNA-p21ホモ接合体では、1年間の観察期間中明らかな腫瘍発生はみられず、生存率も野生型と変わらないことを確認した。また、p53 KO のembryo fibroblast (MEF)はsenescenceを示さないため継代の継続が可能である。そこで、lincRNA-p21ホモ接合体からMEFを調製、増殖率を野生型MEF、p53 KOのMEFと比較した。その結果、増殖率は野生型MEFとほとんど変わらないことが分かった。実際、これらのMEFにおいて、アポトーシスに関わる遺伝子群の発現解析を行ったが、p53 KOのMEFと比較すると、発現変化のみられる遺伝子は比較的共通していたものの、発現の変化量は小さいものであった。incRNA-p21強制発現マウスを作製するため、cDNAをクローニングしたが、全長は得られなかったので、5’側はgenomic DNAよりPCRでクローニングしてつなぐ、という手段で発現ベクターを構築した。
2: おおむね順調に進展している
lincRNA-p21の発現解析、p53 KOのバックグラウンドでの発現解析、MEFの表現型、MEFにおけるアポトーシス関連遺伝子の発現変化等、予定していた解析を行うことが出来た。
lincRNA-p21ホモ接合体、p53 KO、incRNA-p21ホモ接合体でp53ヘテロ接合体等、各種genotype 間で、発がん率や死亡率等、長期の飼育を必要とする表現型の比較解析を行う。通常の状態では目立った表現型を示さないことから、膵炎の惹起や高脂肪食等、刺激に対する反応を調べる。また、過剰発現マウスを作製し、その表現型を調べる。
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