公募研究
脆弱X症候群の原因遺伝子産物である脆弱X精神遅滞タンパク質 (Fragile X Mental Retardation Protein: FMRP) のマイクロRNA輸送機構の解明の目的で、大脳皮質神経細胞をニューロンボール法で培養し、FMRPの成長円錐内の挙動を解析した。軸索ガイダンス因子の一つであるセマフォリン3A (Sema3A) 刺激により成長円錐内のFMRPが減少するがAgo2は減少しなかった。このFMRP特異的減少は逆行性輸送に関与するダイニンの阻害剤であるEHNAでは阻害されないが、ユビキチンE1酵素阻害剤であるPYR-41、あるいはプロテアソーム阻害剤MG-132 で阻害されないことから、逆行性輸送ではなく、ユビキチン-プロテアソーム系によるFMRP特異的な分解が関与することが示唆された。さらに、Sema3A刺激により成長円錐内のユビキチン化が亢進することを抗ユビキチン化タンパク質抗体FK2による染色で確認した。我々が以前、軸索に局在することを報告したマイクロRNA-532 (miR-532) はFMRPと相互作用することがCLIP解析で報告されている。そこで、Sema3A刺激による同マイクロRNAの局在変化を解析した。Sema3A刺激がmiR-532の成長円錐内での局在を低下させる傾向が認められた。従って、FMRPのユビキチン-プロテアソーム系による分解がマイクロRNAを減少させ、翻訳を開始させる可能性が考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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