骨代謝は形成と吸収のバランスの厳密な制御によりその恒常性が維持されている。本申請者は世界で初めてRNAヘリカーゼ p72 の全身性KOマウスの作製に成功し、その解析から p72 が特定のmiRNA群のプロセシン グに重要な因子であることを証明した。我々の予備的検討により、p72 にプロセシングを受けるmiRNA 群が骨代謝調節機能を持つ可能性が強く示唆された。これらの知見を踏まえ、マウスを用いた個体レベルでのmiRNAによる骨代謝調節機能の解明を行うことにした。 p72の生体内での機能を解明するため、p72 floxマウスを作製することとした。 floxマウス作製にあたり、まずin vitroにおいてp72が骨芽細胞分化に影響を与えるかについて解析を行った。マウス線維芽細胞由来MC3T3 #8211;E1細胞を用い、siRNAでp72をノックダウンすると骨芽細胞分化マーカーであるアルカリフォスファターゼの活性が低下した。またp72と非常によく似た分子であり、RNAヘリケース活性を有するp68についても同様の解析を行ったところ、p68も骨芽細胞分化に影響を及ぼすことを明らかにした。floxマウスにはTT2 ES細胞を用い、4ラインの相同組み換えクローンを取得した。これらESクローンよりキメラマウスの作製を行ったところ、全てのラインでキメラマウスを取得し、その後の交配によりES細胞を由来とするF1マウスの作出に成功した。また、p72の組織特異的トランスジェニックマウスの作製を試み、数匹の組織特異的founderマウスの作出に成功した。
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