公募研究
生体への低酸素負荷の影響を検討するために、赤血球増殖因子EPOの遺伝子改変マウスを樹立した。その結果、成獣で重度の貧血を発症し、各臓器への酸素供給が慢性的に低下するマウスの樹立に成功した。このマウスを全身性の慢性低酸素応答モデルとして、代謝産物と遺伝子発現の解析に利用している。また、論文発表を行った。低酸素-再酸素化の影響を解析するために、マウス腎臓の尿管結紮再解放や虚血再潅流を施した。その結果、低酸素や炎症環境が腎臓のEPO産生細胞を筋線維芽細胞へと形質転換させ、組織線維化を進行させることを明らかにした。このとき、EPO産生細胞ではDNAメチル化酵素の発現が亢進し、遺伝子発現様式が大幅に変化していることを見いだし、論文発表した。さらに、酸化ストレス防御に機能する転写因子Nrf2を活性化することにより、虚血再潅流による腎障害が軽減されることを発見した。そこで、Nrf2の条件付き欠損マウスを用いて、低酸素-再酸素化に対するNrf2の腎保護効果について解析を進めている。低酸素環境での生体応答機構を解明するために、転写因子複合体解析に加え、代謝(メタボローム)と転写(マイクロアレイ)の網羅的解析を取り入れることができた。その結果、代謝産物が転写因子を介して遺伝子発現を制御する機構を見いだした。また、低酸素誘導性転写因子HIFの抑制因子PHDの欠損は、低酸素応答と同様に代謝経路と遺伝子発現を変化させることを見いだした。この結果は、低酸素応答のほとんどがHIFに依存していることを示している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (22件) (うち招待講演 5件)
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