公募研究
エストロゲン受容体(ER)はステロイドホルモンであるエストロゲンをリガンドとする転写因子であり、標的遺伝子の発現制御を介して生理的および病態生理的な作用を発揮する。我々は、エストロゲン応答遺伝子としてCOX7RP遺伝子を単離し、そのホモロジーから、ミトコンドリアのシトクロムcオキシダーゼ(COX)との関係に着目し、COX7RPの発現制御とエネルギー代謝における機能を細胞レベルと遺伝子改変マウスを用いて明らかにすることを目的とした。本年度は、COX7RPのエネルギー代謝における作用を明らかにするため、COX7RPを過剰発現するトランスジェニックマウス(COX7RP-Tg)を作製した。COX7RP-Tgマウスの胎児性線維芽細胞(MEF)において、野生型マウスと比較してミトコンドリアのCOX活性が亢進することが示された。臓器レベルでは、COX7RP-Tgマウスの骨格筋においてCOX活性が上昇していた。個体レベルでは、トレッドミルを用いた運動負荷試験の解析によりCOX7RP-Tgマウスの運動持続能が増強していることを明らかにした。間接熱量測定法を用いて、COX7RP-Tgマウスの酸素消費量を測定したところ、安静時の酸素消費量が増大していることが示された。COX7RPノックアウトマウスにおいては、骨格筋におけるCOX活性の減少と、運動持続能が低下していることを明らかにしている。その分子メカニズムとして、COX7RPはミトコンドリアの呼吸鎖スーパー複合体の形成を促進して呼吸活性を亢進させ、ATP産生を増大することを解明した。また、COX7RP遺伝子の発現制御に関してグルコース濃度、低酸素等の代謝環境による調節機構の解析を進めた。以上により、COX7RPはミトコンドリアのCOX活性を制御する因子であり、エネルギー代謝に重要な役割を担っていると考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
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