研究領域 | 生命素子による転写環境とエネルギー代謝のクロストーク制御 |
研究課題/領域番号 |
24116523
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
堀澤 健一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (70424207)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ケミカルバイオロジー / 翻訳後修飾 / メチル化 / 酵素反応 / ケミカルプローブ / クリックケミストリー / プロテオミクス |
研究実績の概要 |
本研究の最終的な目的は、転写調節におけるタンパク質のメチル化修飾の役割の包括的な理解のために、タンパク質メチル基転移酵素群 (MTases; methyltransferases) の標的タンパク質(特に転写制御因子)を試験管内で網羅的に同定する新たなプロテオミクス技術を開発し、解析を行うことである。 1年目は、SAMを分子改変した誘導体を有機合成により作製し、既存のメチル化標的タンパク質をモデル基質として、試験管内でメチル基に代わって機能性プローブを酵素特異的に付加する技術を確立することを目的として、研究を行った。 機能性プローブとして、クリックケミストリーによる特異的な標識を可能とするアルキンを付加するSAM誘導体(AdoEnYn)を合成することに成功した。 また、合成したAdoEnYnを培養細胞に導入し、メタノール固定の後に蛍光試薬とクリック反応を行うことで、細胞内に蛍光シグナルを検出することに成功した。また、この蛍光シグナルは、AdoEnYnの感作時間、投入濃度依存的な増強が見られたため、酵素反応的な転移に依るものである可能性が高いと言える。 次年度は、転移反応が行われた分子を同定すること、また導入遺伝子特異的な転移反応を行うことを目的に更なる検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、アルキニル基の転移反応を行うSAM誘導体AdoEnYnの有機合成に成功した。また、培養細胞内において、AdoEnYnの投入によって、メチル化標的分子の特異的な標識を確認することができた。これによって、おおむね順調な研究の進展が得られていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
AdoEnYnを成功裏に合成することができ、またその合成物を用いることで、培養細胞内において、メチル化修飾のターゲットと思われる分子の特異的蛍光標識に成功した。今後は、標識された生体分子が何であるのかを同定し、またメチル基転移酵素の遺伝子導入などを行うことで、この反応を制御し得る条件を検討していく必要があると思われる。また、in vitroにおける反応条件を検討することで、メチル化標的タンパク質群の同定に向けて、複数種の方法論を考案していく必要もある。
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