研究領域 | 生命素子による転写環境とエネルギー代謝のクロストーク制御 |
研究課題/領域番号 |
24116524
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
白木 琢磨 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (10311747)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 核内受容体 / 脂質代謝 / ヘム合成 / 生活習慣病 / 転写制御 / マクロファージ / プロトポルフィリン症 / ケミカルバイオロジー |
研究実績の概要 |
核内受容体PPARγは脂肪酸代謝物とセロトニン代謝物という全く異なる2つの代謝物に対し、独立して応答出来る仕組みを持っていることを明らかにしてきた。このことから、PPARγは臓器毎、状況毎に異なる内在性リガンドにより制御されている可能性が示唆された。従って、生理的、病理的状況においてどのような内在性代謝物が実際にPPARγに作用しているのかを検討する必要がある。 本年度は、脂質代謝の異常を伴うプロトポルフィリン症のモデル細胞を用いて、PPARγに結合する内在性代謝物の同定を行った。MS/MS解析の結果、精製したPPARγにはプロトポルフィリンIXが共有結合していることを明らかにした。ポルフィリン誘導体アナログを用いたケミカルバイオロジーにより、共有結合に必要な官能基を検討した結果、プロトポルフィリンIXのビニル基が必要であることがわかった。 プロトポルフィリンIXは通常の細胞では細胞外に添加しても細胞内に取り込まれない。そこで、マクロピノサイトーシスを利用した貪食により細胞内に取り込ませ、リソソームを介して細胞に投与する方法を開発した。その結果、PPARγに結合したプロトポルフィリンIXが引き起こす作用を検討した結果、PPARγの活性を阻害することがわかったが、今のところ転写活性化共役因子の結合阻害によるのか、転写抑制共役因子の結合誘導によるのかがわかっていない。引き続き抑制制御機構の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は1)リガンドの同定、2)リガンド認識機構の解明、3)作用機構の解明の3つを行う予定であった。計画していた3つの実験はすべて遂行することが出来た。予想外の問題は、同定した新規内在性リガンドは細胞外に添加しても細胞膜を通過しない為、これまで活性の測定に用いていたHEK293T細胞でのレポーターアッセイが行えなかったことである。細胞に貪食を誘導する方法を構築し、目的のリガンドを細胞内に導入する方法を新たに開発出来た。そこで、引き続き結合した代謝物リガンドによるPPARγの活性制御機構の解明を目指し実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は細胞外からリガンドの投与を行ってきたが、今後は内在性の代謝パスウェイに変調を起こし、内在性に産生されたリガンドの増減がPPARγの活性を調節する事を確認する。既にマウスを用いて代謝の変動を誘導する実験系を構築済みである。血清のHPLCと連動した吸収スペクトル測定により、体内で変動した代謝のモニターが可能になっている。今後、未知の代謝物が検出された場合にそなえ、構造解析へとつなげるためにMS/MS解析、NMR解析との連動を試みる。
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