研究領域 | 哺乳類初期発生の細胞コミュニティー |
研究課題/領域番号 |
24116708
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山縣 一夫 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授 (10361312)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 初期胚 / マウス / イメージング / 定量解析 / 発生速度 |
研究実績の概要 |
着床前初期胚発生では、最終的な個体発生という目的に向かってさまざまな現象が厳密に制御されながら次々と起きる。それらは互いに原因と結果という関係でつながっているだけでなく、適切なステージ・タイミングで起きて初めて機能すると考えられる。これら一連の現象は複雑かつ精密に入り組んでいるため、いずれか一つにでも異常が起きれば連鎖的に次の異常を誘引し、結果的に発生不全に至ると想像させる。しかし一方で、意外にも初期胚は頑強であり、多少の異常(摂動)を緩衝する能力があり、かつその能力は胚ごとになっており、摂動を乗り越え得た一部の胚が最終的な個体発生に至ると考えられる例が出てきた。そこで本研究では、このような胚の摂動に対する影響や、その不均一性の生物学的な意義を理解することを最終的な目標としながら、本期間中は以下のような具体的な目的を設定している。特に「胚の発生速度」に着目しながら、これまでに申請者が開発してきた初期胚ライブセルイメージング技術をもとにしてそれを定量化する系を作る。その後、培養条件や胚操作、モデル動物を用いるなどにより胚に何らかの摂動を与え、それに対する発生速度の変化を単一胚ごとに定量化する。相関解析などの統計的手法を用いて、非摂動胚との相違について平均値や分散に着目しながら記述する。摂動内容に関してはよりin vivoでの変化を想定したもの、あるいは特定の現象に影響を与えるようなものが適切であると考えている。これら一連の実験の流れについて摂動内容を変えて繰り返し、それらの結果同士を紡いでゆくことで、ゆくゆくは初期胚における補償作用や不均一性の包括的・俯瞰的理解につなげようと言うものである。平成24年度は、顕微鏡システムの改良や画像解析アルゴリズムの開発、解析コンピューターの最適化を行うことで、初期胚の発生速度を自動計算できるシステムの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度の目標として、顕微鏡システムの改良や画像解析アルゴリズムの開発、解析コンピューターの最適化をあげていた。現在、100個近くの胚の発生速度を1日で自動計算できる系を立ち上げることに成功しており、これまでの人力による解析に比べると、時間も労力も比較にならないほど効率化している。以上から、計画はおおむね順調に達成されていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、24年度に構築したシステムを用いて、本題である摂動を与えた胚の発生速度を定量化する試みを行う。摂動内容に関しては、以下のようなよりin vivoでの変化を想定したもの、あるいは特定の現象に影響を与えるようなものが適切であると考えている。 ・培養中の酸素濃度 ・卵子の大きさ(マイクロマニピュレーションにより卵子細胞質の量を増減させる) ・染色体異数性・倍数性(異数性モデルマウス、あるいはハプロイド、トリプロイド胚等) ・老齢加齢マウス ・紫外線照射や薬剤によるDNA損傷(チェックポイントに関する摂動)
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