今後の研究の推進方策 |
ポリコーム群欠損マウスや初期胚由来の幹細胞株を用いて、ポリコーム群による初期発生制御の仕組みの解明を目指す。 (1) ES細胞, TS細胞, XEN細胞, エピブラスト幹細胞において、ポリコーム群Ring1B, Mel18, MBLR, Rybpの標的遺伝子を同定する。具体的には、これらポリコーム群の欠損ES細胞における遺伝子発現様式の変化をRNA-seq解析により明らかにする。また、これらのポリコーム群が結合する遺伝子領域をChIP-seq解析により明らかにし、RNA-seqデータと合わせた解析を行うことにより、機能的標的遺伝子の同定を行う。さらに、各幹細胞の分化前後における遺伝子発現様式の変化をRNA-seqにより明らかにし、同定したポリコーム群の機能的標的遺伝子との相関を調べる。 (2) 細胞外シグナルの有無による各幹細胞における遺伝子発現様式の変化をRNA-seqにより明らかにし、ポリコーム群標的遺伝子との相関を調べる。TS細胞およびエピブラスト幹細胞においては、Smad2/3とポリコームおよびヒストンH3K27脱メチル化酵素Jmjd3との機能的相関に注目した解析を行う。 (3) 前年度に引き続き、組織特異的、時期特異的Ring1B欠損マウスの作成および解析を進める。可能であればさらにCdkn2a(Ink4a/Arf)欠損マウスと交配し、これまで観察してきた表現型への影響を調べ、ポリコーム群による細胞系譜や分化段階の制御の全体像の解明を目指す。
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